売れる施策と、売れ続ける構造の違い

――一発当てる会社と、当て続ける会社を分けているもの
山口偉大 2026.04.21
誰でも

こんにちは、山口偉大(Takehiro Yamaguchi)です。 

このニュースレターでは、経営現場で見てきた「意思決定」「事業の伸ばし方」「マーケティングと組織」の話を、構造化して書いていきます。 顧問現場でしか話さない踏み込んだ話、SNSには出さない制作中のプロダクトの裏側、ゲストを招いた対談記事なども配信予定です。 

▼ 取り上げるテーマ

・マーケティング

・事業戦略

 ・企業/事業分析 

・経営者の意思決定 

・プロダクト開発と編集 

・音楽・料理・旅から考える仕事の設計

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自己紹介

まずは簡単な自己紹介から。略歴はこんな感じです。

経歴

山梨県出身、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。PR会社「株式会社ベクトル」にてPRコンサルタントとして従事したのち、「株式会社Branding Engineer(現 株式会社TWOSTONE&Sons)」へ参画、各種人材・DX関連の事業立ち上げや事業部長・経営企画を歴任し独立。上場企業から地方の中堅・中小企業まであらゆる業種・規模感の新規事業開発 / マーケティング / ブランディング / PR支援等を実施。その後「Start-X合同会社」を設立。マーケティングや事業開発、クリエイティブ制作等の支援事業と共同・自社事業を複数展開。複数企業の顧問・アドバイザーも兼務。

音楽:DJ & Producer「Takehiro Yamaguchi」名義でSpotify・Apple Musicなどの各種音楽配信プラットフォームにて配信中。

料理:プライベートシェフとして和食・寿司を提供。 

拠点:山梨 × 東京の2拠点。

 「深夜の編集室 / Editing Room, Late Night」を夜22時に配信中(TikTok / Instagram / YouTube)。

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はじめに:一発当てる会社と、当て続ける会社

経営現場で何社も見てきて、気づいたことがある。

どの業界にも、二種類の会社が存在する。

一発当てる会社と、当て続ける会社。

一発当てる会社は、ある施策で大きく跳ねる。

バズった広告、ヒット商品、成功したキャンペーン——SNSやビジネスメディアで取り上げられ、業界の注目を集める。

しかし、翌年、翌々年になると、話題から消えていく。「あの会社、最近どうしてるんだろう」と言われる側になる。

一方、当て続ける会社は、個別の施策が派手でなくても、気づいたら売上が積み上がっている。

3年後も、5年後も、10年後も、当たり前のように数字を作り続けている。特定のキャンペーンが大ヒットしているわけではない。でも、全体として確実に成長している。

この差は、どこにあるのか。

結論から言えば、こういうことだ。

一発当てる会社は「売れる施策」を作っている。当て続ける会社は「売れ続ける構造」を作っている。

施策と構造は、全く別物だ。

施策は、点の話だ。構造は、線と面の話だ。

施策は、1回の成果を最大化する。構造は、成果が自動的に積み上がる仕組みを作る。

施策は、実行者に依存する。構造は、実行者が変わっても機能する。

今回は、この「施策と構造」の違いを、徹底的に分解していきたい。そして、どうすれば自社を「当て続ける会社」に設計し直せるのか——この問いへの答えを整理する。

***

第1章:なぜ多くの会社は「施策ばかり」で「構造」を作れないのか

1-1. 「施策」は見えるが、「構造」は見えない

まず、本質的な話から始めたい。

「施策」は見えやすい。

今月のキャンペーン、新しい広告、新商品の発売——これらは経営会議の議題になりやすく、数字で測定でき、成果が可視化される。

一方、「構造」は見えにくい。

ブランドの認知、顧客との関係性、社内の仕組み、データの流れ——これらは、今月何をしたかに直接は現れない。成果も、半年後・1年後にじわじわと現れる。

経営の意思決定は、どうしても「見えやすいもの」に偏る。

だから多くの会社で、「今月の施策」についての議論は豊富でも、「構造をどう作るか」についての議論は驚くほど少ない。

見えるものに最適化した組織は、見えないものを作ることを自然に後回しにする。

そして見えないもの——つまり構造——が作られないまま時間が経つと、いつまで経っても「施策単位」でしか売上を作れない会社のままになる。

1-2. 「施策」は緊急で、「構造」は重要だ

もう一つの理由がある。

スティーブン・コヴィーの有名な「緊急と重要のマトリクス」を思い出してほしい。

施策は、緊急だ。
「今月の目標を達成しなければならない」
「来月までにこのキャンペーンを完成させる必要がある」
——締切があり、期限があり、明確なアウトプットが求められる。

一方、構造は、重要だが緊急ではない。

ブランドを5年かけて育てる。顧客データの基盤を整備する。組織の仕組みを改善する——これらは重要だが、「今週中に終わらせなければいけない」ものではない。

緊急なタスクに追われている組織は、重要だが緊急でないタスクに時間を使えない。

結果として、永遠に「施策」ばかりを回し続けることになる。

構造を作るための時間は、意識的に確保しなければ、永遠に発生しない。

これが、多くの会社が「施策の企業」から「構造の企業」に進化できない最大の理由だ。

1-3. 「一発当てた経験」がむしろ構造構築を遅らせる

そして、三つ目の理由が最も皮肉だ。

一度「大当たり」を経験した会社ほど、構造を作れなくなる。

大当たりを経験すると、組織全体が「次の大当たりを狙う」モードに入る。

経営会議の議題は「次にどんな施策を打つか」になる。リソース配分は「次のキャンペーン」に集中する。人材採用も「施策を実行できる人」を探し始める。

一方、構造を作ることは、「目立たないが継続的に成果を出す仕組み」を作る仕事だ。

派手さがない。短期の数字には現れにくい。評価されにくい。

結果として、「一発当てた会社」は、次の一発を追いかけ続けることになる。

そして、次の一発が外れると、急激に勢いを失う。

一度の大成功が、長期の成長を阻害する。これが、多くの会社が経験する見えない罠だ。

***

第2章:「施策」と「構造」の決定的な違い

ここで、施策と構造の違いを、より具体的に整理したい。

違い①:時間軸が違う

施策は、短期の話だ。週次、月次、四半期単位で評価される。

構造は、中長期の話だ。年単位、数年単位で評価される。

これは単なる「期間の長さ」の違いではない。

「どのくらい先の未来を見ながら意思決定しているか」という、組織の思考の時間軸の違いだ。

毎月の数字だけを見ている組織は、その月の数字に最適化された判断しかできない。

3年後の競争力を見ている組織は、その視点から今月の判断を下す。

当て続ける会社の特徴は、経営層が「3年後、5年後、10年後の会社はどうあるべきか」を常に議題にしていることだ。そしてその遠い未来から、今月の判断を逆算している。

違い②:再現性の源泉が違う

施策の再現性は、「実行者のスキル」に依存する。

あの人が企画したから当たった。あの人が運用したから成果が出た——施策が上手い会社には、必ず「できる個人」がいる。

しかし、その個人が離脱すれば、施策の成果は落ちる。

構造の再現性は、「仕組み」に依存する。

誰が担当しても、一定水準の成果が出る。個人のスキルに上乗せされる形で、構造が成果を底上げする。

例えば、顧客との強固な関係性という「構造」がある会社では、担当者が変わっても、既存顧客からのリピート受注は続く。

強力なブランドという「構造」がある会社では、新しい広告担当者でも、一定の認知と信頼を前提にスタートできる。

施策は個人に依存する。構造は仕組みに依存する。そして長期的には、仕組みが個人を上回る。

違い③:コストの性質が違う

施策のコストは、「その都度発生する変動費」だ。

広告を打てば広告費がかかる。キャンペーンを実施すれば運営費がかかる。そしてその施策が終われば、成果の流入も止まる。

構造のコストは、「最初にまとめて発生する固定費」的な性質を持つ。

ブランドを作るには、最初の数年で大きな投資が必要だ。しかし一度構築されたブランドは、その後何年も成果を生み続ける。

顧客データ基盤も同じだ。最初の構築には投資がかかるが、一度できれば継続的にマーケティング精度を高め続ける。

施策は消費的なコスト、構造は投資的なコスト。この違いが、長期的なP/Lの形を大きく変える。

施策ばかりの会社は、毎年同じだけコストを払い続けて、毎年同じだけの成果を取り続ける。

構造を作った会社は、過去の投資が複利で効いてくるため、時間と共に「同じコストで得られる成果」が増えていく。

違い④:成果の積み上がり方が違う

施策の成果は、線形に積み上がる。あるいは積み上がらない。

1回の施策で100の成果。もう1回で100の成果。合計200。それだけだ。

構造の成果は、複利的に積み上がる。

最初の1年で100の成果。次の年は、前年の構造の上に新しい施策を乗せるから150の成果。その次の年は、さらに大きい200の成果——といった形で加速していく。

施策の成果は足し算。構造の成果は掛け算。

これが、同じ業界で同じ年数事業を続けている2社が、10年後に全く違う規模になる理由だ。

***

第3章:「売れ続ける構造」を作る5つの要素

では、具体的に「売れ続ける構造」とは、どんな要素で作られているのか。

経営現場で見てきて整理できたのは、以下の5つだ。

要素①:「思い出してもらえる仕組み」——指名想起の獲得

売れ続ける会社の最大の構造的強みは、「顧客が何かを必要としたときに、最初に思い出してもらえる」ことだ。

これは「指名想起」と呼ばれる。

「経営の相談をしたい」と思ったときに、最初に頭に浮かぶ会社はどこか。

「新しいマーケティングツールを検討したい」と思ったときに、最初に思い浮かぶのはどのブランドか。

この「最初の想起」を獲得している会社は、新規顧客獲得のコストが構造的に低い。

競合比較で選ばれるのではなく、そもそも「比較対象」として挙がる段階で勝ち始めている。

これは一回の広告では作れない。

  • 一貫したテーマでの発信を継続する

  • 業界の中で「この領域といえばこの会社」というポジションを取る

  • 顧客との接点を継続的に持ち続ける

こういった地道な活動の積み重ねによって、やっと「指名想起」の構造が出来上がる。

単発の認知獲得ではなく、記憶に残り続けるポジションを取ること——これが売れ続ける構造の土台だ。

要素②:「戻ってきてもらえる仕組み」——リテンション構造

売れ続ける会社のもう一つの強みは、「一度の取引で終わらない顧客関係」を持っていることだ。

新規顧客の獲得コストは、リピート顧客への販売コストの5〜10倍かかる、と言われている。

だから、リピート率が高い会社は、同じ売上を作るためのコストが根本的に低い。

しかし、リピートは自動では起きない。

「買った後も、関係を維持する仕組み」がなければ、顧客はすぐに忘れる。次に買う頃には、別の会社の顧客になっている。

売れ続ける会社は、以下のようなリテンション構造を持っている。

  • 購入後の継続的なコミュニケーション

  • 顧客の成功を支援するカスタマーサクセス

  • 顧客コミュニティの形成

  • 定期的な価値提供(メールマガジン、限定イベントなど)

これらは単体で見ると、直接的な売上につながらない。

でも長期で見ると、これらがある会社とない会社で、顧客一人あたりの生涯価値(LTV)が数倍違ってくる。

新規獲得は施策。リテンションは構造。そして構造が強い会社ほど、施策に使える予算が大きくなる。

要素③:「紹介してもらえる仕組み」——口コミが発生する設計

最も強力な構造の一つが、「顧客が顧客を連れてくる」仕組みだ。

顧客が自発的に、友人や同僚や業界の仲間に「あの会社いいよ」と勧めてくれる状態。

これが機能している会社は、広告費をかけなくても新規顧客が増える。しかも紹介経由の顧客は、成約率もLTVも、通常の顧客より高いことが多い。

ただし、この構造は偶然には生まれない。

顧客が自然に紹介したくなる「体験」が設計されていなければならない。

具体的には、以下のような要素が必要だ。

  • 顧客の期待を明確に超える体験(サービス品質、細部のこだわり)

  • 紹介することが紹介者自身の価値を高める仕組み(「自分のセンスを示せる会社」として機能する)

  • 紹介しやすい仕掛け(シンプルな価値提案、共有しやすいコンテンツ)

「口コミが発生する会社」になるためには、プロダクト、接客、ブランド、全ての要素が「紹介に値する水準」にある必要がある。

これは一朝一夕には作れない。

しかし一度作り上げると、会社の成長エンジンが根本的に変わる。

要素④:「自動的に改善する仕組み」——データと学習の構造

売れ続ける会社は、組織全体が「学習する機械」になっている。

顧客の行動データ、施策の成果データ、市場の変化のデータ——これらが組織の中で自然に循環し、次の意思決定に活かされる仕組みがある。

これは単なる「データ分析ツールの導入」ではない。

データを見て、意思決定を変え、結果を検証し、さらに改善する——このサイクルが、組織の日常業務として回り続けている状態のことだ。

多くの会社では、このサイクルが機能していない。

データは集まっているが、意思決定に使われていない。施策は実行されているが、その成果が体系的に蓄積されていない。新しい社員が入っても、過去の学びにアクセスできない。

売れ続ける会社は、組織全体で継続的に学習している。だから、同じ失敗を繰り返さない。新しい環境にも早く適応できる。時間が経つほど、意思決定の質が上がっていく。

学習する仕組みが構造として埋め込まれている会社は、時間そのものが資産になる。

要素⑤:「個人に依存しない仕組み」——属人性からの脱却

最後の、そして最も本質的な構造要素が、「個人に依存しない仕組み」だ。

全ての強い会社は、どこかの時期に「属人性からの脱却」を経験している。

創業者の天才性で回っていた会社が、仕組みで回る会社に変わる瞬間。スーパー営業マンの個人技で取っていた売上が、誰が担当しても一定水準で取れる売上になる瞬間。

この転換を乗り越えた会社だけが、創業者や特定の個人を超えて、長期の事業として成立する。

属人性からの脱却とは、具体的には以下のようなことだ。

  • 創業者の頭の中にあった「こういう判断をする」というロジックを、意思決定の原則として言語化する

  • スーパー営業マンの暗黙知を、営業マニュアルや営業プロセスとして明示化する

  • 特定の担当者しか知らない顧客情報を、組織全体で共有できる仕組みに変える

これは、個人の才能を否定することではない。

個人の才能を「組織の資産」に変換することだ。

個人が抜けても機能する会社を作ること——これが、売れ続ける構造の最終目的地だ。

***

第4章:「施策」から「構造」への転換——実践的な問い

ここまで、売れ続ける構造の要素を整理してきた。

では、自社を「施策の会社」から「構造の会社」に転換するために、具体的に何をすればいいのか。

経営現場で使える問いを5つ紹介する。

問い①:「今月の施策がゼロになったら、来月の売上はいくらか」

これは、構造の強さを測る最も重要な問いだ。

全ての施策を止めたとき、ブランド認知、既存顧客、紹介経由、リテンション——こういった「構造」だけで、来月何割の売上が確保されるか。

この比率が高い会社ほど、構造が強い。

比率が低い会社は、施策を止めた瞬間に事業が止まる、ということだ。

問い②:「10人の顧客にアンケートを取ったら、何人が会社名を思い出すか」

ブランド認知という構造の強さを測る問いだ。

過去に接点があった顧客や見込み顧客に、自社の名前をどれだけ覚えてもらっているか。

思い出してもらえなければ、その顧客は「いつか買うかもしれない顧客」ではなく「既に関係が途絶えた顧客」だ。

思い出してもらえる構造を、どう作るか——これが中長期の勝敗を分ける。

問い③:「過去の顧客からのリピートは、全体売上の何%か」

リテンションという構造の強さを測る問いだ。

もしこの比率が20%未満なら、構造的には「新規獲得に依存する事業」になっている。

この比率を40%、50%に高めていく設計ができているか。

問い④:「新規顧客の流入経路で、紹介は何%を占めるか」

口コミという構造の強さを測る問いだ。

紹介比率が高い会社は、広告費の伸びが鈍化しても売上が伸び続ける。

紹介比率が低い会社は、広告費を減らせば売上も減る。

問い⑤:「主力担当者が突然辞めたら、売上はどのくらい落ちるか」

属人性の解消度を測る問いだ。

特定の個人に強く依存している会社は、その人間が抜けた瞬間に大きなダメージを受ける。

この問いに「ほとんど落ちない」と答えられる会社は、構造が個人を超えている。

***

第5章:「施策ファースト」の組織を「構造ファースト」に変える

実際に組織を変えていくには、どこから手をつければいいのか。

ステップ①:経営会議の議題を「構造」に割く時間を確保する

多くの経営会議は、今月・今週の施策の話で時間の90%が消える。

「構造」の話は、時間が余れば話す程度になる。

最初のステップは、経営会議のアジェンダに、意識的に「構造の話」の時間を固定することだ。

毎月30分でいい。「3年後に強い会社になるために、今何を投資しているか」を議論する時間。

これを習慣化するだけで、意思決定の中心が徐々に変わっていく。

ステップ②:構造を作る担当者を明確に指名する

施策には必ず担当者がいる。予算があり、KPIがあり、責任の所在が明確だ。

しかし、「構造を作る担当者」は、多くの会社で曖昧だ。

「誰のものでもない」ということは、「誰もやらない」ということと同義だ。

「ブランドを育てる責任者」「顧客関係性を深める責任者」「学習する仕組みを設計する責任者」——こういった構造側の担当者を明確に置く。

施策担当と構造担当の両方が、同じテーブルで議論できる組織構造を作る。

ステップ③:構造の進捗を測定する独自のKPIを設定する

構造は、既存のKPIでは測れない。

月次の売上や利益だけを見ていると、構造の進捗は見えない。

別のKPIを作る必要がある。例えば、

  • 指名想起率(「この領域といえば御社」と認識する顧客・見込み顧客の割合)

  • NPS(顧客の紹介意向)

  • リピート率、紹介経由売上比率

  • 顧客データベースの整備度

  • 組織の意思決定に占める「データに基づく判断」の比率

こういった構造側のKPIを、施策側のKPIと並列で管理する。

測れないものは、改善されない。構造を改善するには、構造を測ることから始める必要がある。

ステップ④:短期と長期の投資比率を決める

多くの会社では、リソースの90%以上が「今月・今期」に向いている。

意図的に、そのうちの10〜20%を「構造を作る活動」に配分する。

この比率は、経営判断として明示する必要がある。「20%は、3年後のために使う」と、経営層が宣言する。

この宣言がないと、短期の数字に追われて、構造への投資は永遠に後回しになる。

***

第6章:診断チェックリスト

あなたの会社が「施策の企業」か「構造の企業」か、あるいはどの段階にあるのかを確認する。

「施策依存度」診断

以下の項目で4つ以上当てはまれば、施策への依存度が高く、構造の整備が急務だ。

□ 経営会議の議題の8割以上が「今月・今期の施策」で占められている

□ 「ブランドを育てる」「顧客関係を深める」という活動に、専任の担当者がいない

□ 新規顧客の流入経路で、紹介経由が全体の10%未満である

□ 過去の施策で何が機能し、何が機能しなかったかを組織的に記録・共有する仕組みがない

□ 特定の「できる社員」が抜けると、売上に大きな影響が出る

□ 顧客データが蓄積されているが、意思決定に活用する仕組みが整っていない

□ 「去年やった施策」と「今年やる施策」の連続性が弱く、その都度ゼロベースで考えている

□ 3年後、5年後の会社の姿を、経営層で議論する定期的な場がない

最後の問いかけ

「あなたの会社は、今月の施策で売上を作っているのか、それとも5年かけて作ってきた構造が今月の売上を生んでいるのか。」

この問いへの答えが、あなたの会社の競争力の本質を表している。

施策で売上を作っている会社は、来月も施策が必要だ。

構造が売上を生んでいる会社は、構造が機能する限り、売上が生まれ続ける。

この違いが、5年後・10年後に「まだ走り続けている会社」と「息切れした会社」を分ける。

***

最後に

今回は「売れる施策と、売れ続ける構造の違い」というテーマで、二つの違いと、構造を作るための具体的な視点を整理してきました。

結論をもう一度、一行で言う。

一発当てることは、努力と才能があれば誰でもできる。当て続けることは、構造を作った会社にしかできない。

経営現場で見てきて感じるのは、「優秀な経営者・マーケター」ほど、施策の達人であることが多いが、それゆえに「構造を作る」という地味で長期的な仕事を軽視しがちだということだ。

施策は派手で、結果がすぐに出て、評価されやすい。

構造は地味で、結果が見えるまで時間がかかり、評価されにくい。

しかし、長期で勝つのは、常に構造を作った会社だ。

「10年後も売れている会社」になりたいなら、今月の施策に使っているエネルギーのうち、20%を構造構築に向ける判断から始めてほしい。

その判断は、今月の数字には現れない。

しかし、5年後の会社の姿を、決定的に変える。

次回は「A/Bテストを回しているのに勝てない理由」をテーマに深掘りします。

今後も、企業・事業の分析を通じてお役立ち情報を発信していきます。時間の許す限り、頑張って発信していきますので、応援のほどよろしくお願いします。

ではでは。

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