『事業成長は、すべて設計と編集である。』刊行に寄せて
こんにちは、山口です。
今日は、いつものニュースレターとは少し違う、特別なお知らせから始めさせてください。
新刊『事業成長は、すべて設計と編集である。』を、刊行しました。
──そして、この本は、全文PDFでは無料でお届けします。
PDF、Kindle、紙書籍、音声で配信予定となっております。
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なぜ無料で出すのか。 なぜ「設計と編集」というタイトルにしたのか。 そして、いま、なぜこの本を世に出したいと思ったのか。
これからお伝えするのは、その全部の理由です。
これは、僕の15年間以上の経験の答え合わせです
正直に書きます。
この本を書きながら、何度も手が止まりました。
「これ、本当に書いていいんだろうか」と、自分に何度も問いました。
なぜなら、書こうとしている内容は、この15年以上の間、現場でしか話さなかったことだったからです。
経営者やCMO、マーケターと1対1で向き合って、机を挟んで、ホワイトボードに殴り書きしながら、夜遅くまで話してきたこと。
「これ、ブログに書かないでくださいね」と、僕自身が顧問・アドバイザリー先に約束してきたこと。
そういう「本来、机を挟まないと話せない種類の話」を、本に書こうとしている自分が、何度も怖くなりました。
でも、書き続けました。
なぜか。
15年以上の間、ずっと違和感だったことが、いま、ある一つの確信に変わってきたからです。
その確信を、書きます。
すべての事業成長は、結局「設計と編集」だ
僕は、上場企業から地方の中堅・中小企業まで、本当に多くの会社を見てきました。
PR会社(株式会社ベクトル)でPRコンサルタントとして、ありとあらゆる業種のクライアントに向き合いました。Branding Engineer(現 TWOSTONE&Sons)で、人材・DX関連の事業を一から立ち上げ、事業部長・経営企画として走らせました。独立してStart-Xを立ち上げてから、複数の顧問・アドバイザリー先と毎日のように経営・マーケティング会議をしてきました。
そして気づきました。
事業がうまく伸びている会社と、伸び悩んでいる会社の差は、「能力」でも「予算」でも「業界の追い風」でもない。
差は、たった一つのことに集約されます。
その会社が、「設計」と「編集」を、ちゃんとやっているかどうか。
これだけです。
「設計」とは、何か。
事業を、施策の積み上げで作るのではなく、構造として作るということです。
ファネル全体を、ひとつのシステムとして組み立てる。 KPIを、現場の判断と接続する。 組織を、再現性のある仕組みとして設計する。 意思決定を、属人ではなくフレームに落とす。
これらを「思いつき」「気合」「実行力」ではなく、設計図として描けるかどうか。
現場で見てきて、この差は本当に大きい。
「いい施策をやっている会社」は、業界に山ほどあります。 でも、「事業成長を設計できている会社」は、本当に少ない。
「編集」とは、何か。
これは、僕自身が15年以上かけて辿り着いた、もう一つの本質です。
事業は、ゼロから作るのではない。すでに会社の中にある「素材」を、編集することで作られていく。
創業者がずっと持ってきた違和感
組織が積み上げてきた失敗の記録
顧客との対話の中にしかない一次情報
メンバー一人ひとりの中に眠っている経験
会社の歴史の中に埋もれている物語
これらすべてが、事業の「素材」です。
そして、強い事業は、新しいものを発明したから強いのではなく、手元にあった素材を、誰よりも丁寧に編集してきたから強い。
設計が、構造を作る作業だとすれば。 編集は、その構造の中に「魂」を入れる作業です。
そして、僕がいま確信しているのは。
生成AI時代において、この「設計と編集」だけが、企業の唯一の競争力になるということです。
AIが「平均的な答え」を無限に出す時代に
僕の本のサブタイトルは、こうです。
「生成AI時代のマーケティング。ツールではなく仕組みで設計する」
なぜこのタイトルなのか。
経営・マーケティング現場で、いま、嫌というほど見ている景色があります。
会議室で、経営者が言います。
「AIを導入したのに、なぜ成果が出ないんだ」
「ChatGPTを社員全員に配ったのに、生産性が上がらない」
「いいツールを揃えたのに、競合に追いつけない」
その経営者の手元には、最新のAIツールのリストがあります。 契約書も、PoCの結果も、社内通達も、全部揃っています。
でも、事業は伸びていない。
なぜか。
ツールだけ揃えても、それを動かす「仕組み」がないからです。
これが、僕がいま、この本を書いた理由です。
AIは、業界中の企業に平等に届きました。
ChatGPTも、Claudeも、Geminiも、Perplexityも、誰でも使えます。 コンテンツ生成も、データ分析も、顧客対応も、AIが代替できます。
これは「すごい時代」のように見えて、実は、業界全体が同じツールで武装する、史上最大の同質化時代を意味しています。
そして、同質化した市場では、ツールでの差別化は構造的に不可能です。
差をつけられるのは、ツールではなく、それを動かす仕組みだけ。
その仕組みを、僕は「設計と編集」と呼んでいます。
書きながら、何度も泣きそうになった話
この本を書いている間、何度も筆が止まって、デスクの前で動けなくなった瞬間がありました。
理由を、正直に書きます。
書いている内容の一つひとつが、過去に出会ってきた経営者の顔と、紐づいていたからです。
「あの会社のあの会議室で、あの社長と話したこと」
「失敗を一緒に乗り越えた、あのチームのこと」
「夜遅くまで議論した、あの経営者の苦悩」
「事業を畳む決断を一緒にした、あの瞬間」
それらが、文章の一行を書くたびに、フラッシュバックしてくるんです。
正直、しんどかった。
でも、書き続けました。
なぜなら、僕が15年以上かけて見てきた景色を、僕一人の頭の中に閉じ込めて持っていくのは、あまりに勿体ないと感じたからです。
経営者という仕事は、本質的に孤独です。
社員には言えないことがある。 家族にも理解されないことがある。 業界の競合には聞けないことがある。 親しい友人にも、相談できる範囲には限界がある。
そんな経営者の手元に、夜遅く、お酒を飲みながら、本気で読める一冊があったらいい。
「あ、ここに、自分と同じことで悩んでた人がいる」と感じてもらえる一冊。
書いている間、ずっとそういう一人の経営者を想像していました。
なぜ、無料で出すのか
これも、ちゃんと書きます。
無料で出す理由は、シンプルです。
一人でも多くの経営者に、この本を読んでほしいから。
ただ、それだけです。
正直に言えば、お金を取って売る選択肢もありました。
「これだけ書き込んだら、3,000円で売っても買う人はいる」と言ってくれた人もいました。
でも、僕は無料で出すことに決めました。
理由は、二つあります。
一つ目。本を出すことの目的が、印税ではないから。
僕の本業は、経営者の意思決定パートナーとしての顧問・アドバイザリー業です。Marketing-OSというSaaSプロダクトの開発・提供です。
本は、僕の仕事の「証拠物」です。 「山口偉大という人間は、こういうことを考えている」「こういう構造で経営を見ている」と知ってもらうための、最も誠実なメディアです。
その本に値段をつけて、買える人だけに届けるのは、僕の意図に合いません。
経営に悩むすべての人に、無料で届けたい。 読んで、何かが響いたら、その時に僕の他の仕事を覗いてくれればいい。
それが、本を世に出すことの、僕にとっての本当の意味です。
二つ目。「設計と編集」の本質が、無料配布という選択そのものに込められているから。
事業設計の視点で見れば、本を売ることで得られる印税より、「無料配布で得られる読者との関係性」の方が、長期的にはるかに大きな価値を生みます。
これは、過去のニュースレター「価格の神話」で書いた構造とも繋がっています。価格を上げる勇気と、価格を捨てる勇気は、表裏一体です。
僕は、この本では後者を選びました。
「お金を払う読者」ではなく、「本気で読んでくれる読者」を、深く獲得したい。
それが、僕の事業設計の意思決定です。
この本を読んでほしい、3人の人
書きながら、強く意識した読者像があります。
一人目:経営者
事業の数字に向き合いながら、「もっと違うやり方があるはずだ」と感じている経営者。
「マーケティング部に施策を任せているのに、なぜか成果が出ない」
「AIを導入しても、組織が変わらない」
「気合と根性ではない、構造的な答えがあるはずだ」
そう感じている経営者に、この本を渡したいと思って書きました。
二人目:マーケティング責任者
現場で施策を回しながら、「自分のキャリアと事業の長期成長を、どう接続するか」を考えている責任者。
「マーケティングが、施策と数字の管理だけになっている」
「もっと事業全体の設計に踏み込みたい」
「経営と現場の翻訳者として、自分は何をすべきか」
そう感じている責任者に、この本を読んでほしいです。
三人目:マーケター
最前線で手を動かしながら、「自分のスキルは、AI時代に通用するのか」と不安を抱えているマーケター。
「AIに代替されない仕事は、どこにあるのか」
「自分の経験を、どう体系化すればいいのか」
「キャリアの次のステップを、どう設計すればいいのか」
そう感じているマーケターに、自分の仕事の意味を再確認してほしいです。
本の中で書いたこと、書かなかったこと
この本では、こんなことを書きました。
事業成長を「施策の積み上げ」ではなく「構造の設計」として捉え直す視点
マーケティングを「広告と施策の総体」ではなく「事業の意思決定システム」として再定義する考え方
AI時代に、組織が「設計と編集の筋力」をどう育てるか
価格決定、ブランド設計、顧客理解、組織構造、すべての領域での「設計と編集」の実装方法
経営者・マーケター・現場メンバーが、それぞれの立場でどう関わるべきか
そして、書かなかったこと。
短期的な小手先のテクニックは、ほぼ書いていません。
「○○ハック」「××で売上3倍」「すぐに使えるテンプレート集」——こういう本を期待する方には、僕の本は退屈かもしれません。
代わりに、5年・10年スパンで事業を見続けるための、構造的な視点だけを書きました。
すぐに使える本ではなく、長く効く本を作りたかったからです。
書きながら、自分自身が救われた話
最後に、少しだけ個人的な話をさせてください。
この本を書く過程で、僕自身が一番救われたんです。
長い年月の間、経営・マーケティング現場で見てきた光景を、頭の中で散発的に持っていました。 ある会社で見た判断、別の業界で観察した構造、また別の経営者から聞いた苦悩——これらが、僕の中でバラバラに存在していました。
それらを一冊の本として編集する作業を通じて、自分が15年以上の間で何を見てきたのか、何を信じるようになったのかが、初めて自分自身に見えてきました。
これは、僕にとって本当に救いになりました。
そして、思いました。
「素材を編集して、場と意思決定を作る」
これは、僕がDJとしてフロアに立つ時の感覚。 プライベートシェフとしてカウンターで寿司を握る時の手の感覚。 山梨と東京を行き来する身体感覚。 経営者と向き合う会議室の空気の感じ。
これら全部が、僕の中で同じ一つのこととして繋がっていました。
そして、それを言葉にすると、こうなりました。
「すべては設計と編集である」
事業も、音楽も、料理も、ブランドも、生活も。 全部、設計と編集です。
この一行が見つかった瞬間、僕の中で何かが完成した気がしました。
読み終わった後に、何かが残ってほしい
この本を読み終わった経営者やマーケターが、デスクの前で少しだけ立ち止まって、こう思ってくれたら嬉しいです。
「自分の事業も、結局、設計と編集だな」
「自分のキャリアも、自分で設計しなおせるな」
「自分の周りにある素材を、もう一度編集してみよう」
そういう、ささやかだけど確実な変化が、読者の中で起きてくれたら、僕がこの本を書いた意味があります。
どうか、まず手に取ってみてください
長くなりました。
最後にもう一度だけ、書かせてください。
『事業成長は、すべて設計と編集である。』は、全文PDF無料で配布しています。
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そして、もし読んでくださって、
「この内容を、もう少し深く話したい」
「自社の事業設計について、相談したい」
と感じたら、ぜひ連絡ください。
僕は、本に書いたことを、現場で一緒に実装するための仕事を、本気でやっています。
Marketing-OS(提供中):本書の理論を実装するためのSaaSプロダクト。30種類のテンプレート、承認ワークフロー、無料AI診断ツールを提供中。
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最後に。読者のあなたへ
本を書くという行為は、本当に孤独な作業でした。
ずっと文章と向き合って、書いて、消して、書き直して、悩んで——その繰り返しでした。
でも、その孤独な作業の向こうに、いま、あなたがいます。
このニュースレターを読んでくれている、あなたに、僕の15年が届くと思うと、書いていてよかったと心から思います。
本を読んでいただけたら、ぜひ感想を、SNSのDM、リプライ、メール、どんな形でも構わないので、教えてください。
僕は、読者一人ひとりの反応を、本気で読みに行きます。
ありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします。
ではでは。
— 山口偉大 / Yamaguchi Takehiro
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