AI時代に、なぜ“人間らしさ”が競争優位になるのか

AIが平均点を引き上げるほど、選ばれる理由は「速く作れること」から「誰が、何を、なぜ残したか」に移っていく。
山口偉大 2026.07.29
誰でも

今日は、AI時代における「人間らしさ」について書いていこうと思います

このテーマは、正直少し誤解されやすいと感じています。

人間らしさと言うと、温かい文章、感情のこもった接客、手書きのような揺らぎ、弱さの開示、顔が見える発信、そういうものを想像するかもしれません。

もちろん、それらも大切です。

ただ、AI時代の競争優位としての人間らしさは、もう少し深いところにあります。

それは、責任を持った文脈です。

AIは速く作れる。

AIは整えられる。

AIは大量に比較できる。

AIは平均点を一気に上げる。

だからこそ、価値は「作れること」から、「何を選び、何を捨て、何に責任を持つか」へ移っていくと考えています。

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1. AIが奪うのは、低品質な仕事ではなく「平均的に正しい仕事」である

AIが広がると、人間の低品質な仕事だけが置き換わる。

最初は、そう考えられていたと思います。

  • 誤字が多い文章。

  • 雑な要約。

  • 単純な調査。

  • 定型的なメール。

もちろん、これらはAIによって置き換わります。

ただ、現場で起きていることは、もう少し厄介です。

AIが奪うのは、低品質な仕事だけではありません。

平均的に正しい仕事も置き換わります。

  • きれいな企画書。

  • 整ったメール。

  • 筋の通ったSNS投稿。

  • それっぽいブランドコピー。

  • 標準的な市場調査。

  • 一定水準のカスタマーサポート。

AIは、これらを速く、大量に、安定して出せます。

Brynjolfsson、Li、Raymondらの「Generative AI at Work」では、5,172人のカスタマーサポート担当者を対象に、生成AI支援の導入を分析しています。AI支援によって、1時間あたりに解決できる問い合わせ数は平均15%増加し、特に経験の浅い担当者やスキルの低い担当者で効果が大きいと報告されています。

これは素晴らしいことです。

AIは、仕事の底上げをします。

ただ、その結果として、平均点の仕事は差別化になりにくくなります。

誰でも80点を出せる時代に、「私は80点を安定して出せます」は、価値の中心ではなくなる。

差が出るのは、80点の素材をどう扱うかです。

何を採用するか。

何を捨てるか。

その会社の顧客にとって、本当に意味があるのはどれか。

自分たちは、どの言葉には責任を持てるのか。

ここに人間の仕事が戻ってきます。

AIが平均点を上げるほど、人間の価値は「作業のうまさ」から「判断の固有性」へ移る。

この移動を見落とすと、会社はAIで速くなったのに、選ばれにくくなります。

***

2. 「人間らしさ」を感情論で扱う会社は、むしろ弱くなる

人間らしさを、ただの情緒として扱うと危険です。

  • もっと温かい表現にしよう。

  • もっと共感を入れよう。

  • もっと手触りを出そう。

  • もっと弱さを見せよう。

これ自体は悪くありません。

ただし、目的が曖昧なまま「人間味」を足すと、ブランドはぼやけます。

たとえば、AIが作った無機質な文章に、最後だけ「心を込めて」と足す。

問い合わせ対応に、やたら柔らかい言葉を足す。

SNSで、急に個人的な話を混ぜる。

これでは、人間らしさではなく、演出になります。

顧客は、意外とそこを見抜きます。

Verizonの2025年CX Annual Insights Reportは、5,000人の消費者と500人の経営幹部を対象に、AIが顧客体験へ与える影響を調べています。消費者の88%は人間の担当者が主に対応する接点に満足した一方、AI主導の接点への満足は60%でした。

ここで読むべきなのは、「AIはだめで、人間に戻そう」ではありません。

顧客は、効率そのものを嫌っているわけではない。

むしろ、速さや便利さは求めています。

ただ、困った時、迷った時、怒っている時、自分の事情が特殊な時に、定型的な正しさだけで処理されることに不満を持つ。

つまり、人間らしさの価値は、表現の温度だけではなく、個別の文脈を引き受けることにあります。

人間らしさは、やさしい言葉を足すことではない。相手の事情を、標準処理の外で扱えることだ。

この区別を持たない会社は、AIで効率化したあとに、最後だけ「人間味」を装飾として貼りつけます。

それは、長くは持ちません。

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3. 人間らしさは、5つの層でできている

AI時代の競争優位としての人間らしさを、僕は5つの層で見ています。

体験、文脈、違和感、関係、責任。

この5つです。

図解の要点は、人間らしさが「感情表現」だけではないことです。

AIも、感情的な文章は書けます。

やさしい言葉も、励ましも、共感風の表現も作れます。

それでも、人間に残る価値があります。

1. 体験

実際に使った、売った、断った、失敗した、怒られた、迷った。

こうした経験は、単なる情報ではありません。

身体に残る重さです。

2. 文脈

同じ言葉でも、誰が、いつ、どの関係で言うかによって意味が変わります。

AIは過去の言語パターンを参照できます。

しかし、今この会社の、この顧客との、この関係性で、その言葉を出してよいかは、人間が読む必要があります。

3. 違和感

数字は合っているのに、なぜか進めない。

文章は正しいのに、誰の言葉にも見えない。

この引っかかりは、過去の比較の履歴から出ます。

4. 関係

人は、情報だけで動きません。

誰が言ったか。

これまで何をしてきたか。

どこまで本気で見てくれているか。

関係が、意思決定の速度を変えます。

5. 責任

最後に、誰がその選択を引き受けるか。

AIは案を出せます。

でも、「これを世に出す」「この顧客へ言う」「この人を採用する」「この価格で売る」という責任は、人間が持つ必要があります。

AIが言葉を作れる時代に、人間の差は、言葉の背後にある体験・関係・責任で決まる。

***

4. 支援先事例1:AIでコンテンツ量は2.6倍、でも相談は減った

ある支援先では、生成AIを導入して、記事、SNS投稿、メルマガ、営業資料の制作量が増えました。

3ヶ月で、コンテンツ本数は約2.6倍。

制作時間は約42%減。

社内では、明らかに生産性が上がっていました。

ただ、問い合わせの質が落ちました。

資料請求は増えた。

でも、個別相談への転換率は下がった。

以前は、少数でも「この会社に相談したい」という温度の高い問い合わせが来ていたのに、AI活用後は、比較検討の一社として扱われることが増えました。

最初の仮説は、CTAが弱い、でした。

ボタンの位置を変える。

導線を増やす。

記事末尾の文言を直す。

でも、数字は大きく戻りませんでした。

そこで、公開されたコンテンツを20本ほど並べて読みました。

違和感は、すぐ分かりました。

全部、正しい。

しかし、誰が書いたのかが分からない

業界の課題。

よくある解決策。

整理されたフレーム。

それっぽい事例。

でも、その会社が、どの顧客に向き合い、どの失敗をし、何を信じていて、何をやらないと決めているのかが見えませんでした。

AIは、文章の空白を埋めていました。

ただ、その会社が市場に残すべき傷や癖まで、消していた。

そこで、記事の制作フローを変えました。

AIにいきなり本文を書かせない。

最初に、担当者本人が次の5つを書く。

  • 実際に見た顧客の言葉

  • その仕事で一度失敗したこと

  • 他社の一般論と違う判断

  • 自社が引き受ける責任

  • 自社がやらないこと

その5つを入れてから、AIに構成や下書きを任せる。

結果、公開本数は一時的に約35%減りました。

しかし、4ヶ月後には、相談転換率が元の水準を超え、指名での問い合わせも戻ってきました。

AIで量を増やした時に最初に消えるのは、誤字ではない。その会社だけが持っていた、傷と判断の痕跡である。

***

5. 支援先事例2:人間対応を減らしたら、顧客の不満は静かになった

別の支援先では、問い合わせ対応へAIを導入しました。

定型質問への返信は速くなりました。

一次応答時間は、平均8時間台から1時間未満へ短縮。

問い合わせ担当者の負荷も下がりました。

ところが、3ヶ月後に別の問題が出ました。

解約理由のフリーコメントに、次のような言葉が増えたのです。

「対応は速いが、分かってもらえている感じがしない」

「こちらの事情を説明するのが面倒になった」

「結局、人に話した方が早かった」

表面上の満足度は大きく落ちていません。

むしろ返信速度は改善している。

でも、継続率に小さな陰りが出ていました。

AIを止めるのではなく、接点を分けました。

定型質問、配送、手続き、仕様確認はAIでよい。

一方で、次の4つは人間へ上げる。

  • 怒りや不安が含まれる

  • 顧客側の事情が複雑

  • 何度も同じ説明をしている

  • 会社の姿勢を問われている

さらに、人間対応に切り替わった時には、AIの履歴をそのまま渡すだけでなく、「顧客が本当に困っていること」を一文で要約するようにしました。

8週間後、応答速度は少し遅くなりました。

ただ、再問い合わせ率は約18%下がり、解約理由に出ていた「分かってもらえていない」という言葉は減りました。

AIは、処理を速くしました。

人間は、関係を戻しました。

AIに任せるべき接点と、人間が出るべき接点を分けない会社は、効率化によって信頼を静かに失う。

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6. 書籍で書いた「4つのコア」は、人間らしさを仕組みに戻すためにある

書籍『事業の成長は、すべて設計と編集である。──売上は、仕組みで決まる。』では、AI時代のマーケティングOSを4つのコアで整理しました。

  • ブランドOS

  • 顧客フィード

  • 編集キュー

  • 学習ループ

この4つは、ツールを束ねるためだけの仕組みではありません。

会社の人間らしさを、属人的な感覚で終わらせず、組織の中へ残すための仕組みです。

書籍では、ブランドOSを「会社の哲学をAIが読める形で保存しておく場所」と定義しました。

また、顧客フィードは、顧客の行動や声を時系列で束ねるもの。

編集キューは、AIの出力を判断を通してから外へ出すもの。

学習ループは、結果を学びとして組織に蓄積するものです。

この4つが循環すると、AIは「会社の哲学を理解した優秀な新入社員」のように振る舞い、人間は「作る人」から「選び、残し、判断する人」に戻る、と書きました。

この話は、今回のテーマとつながっています。

人間らしさを、社員一人ひとりの性格に任せると不安定です。

  • ある人は丁寧。

  • ある人は速い。

  • ある人は温かい。

  • ある人は雑。

これでは、ブランドの体験が人によって変わります。

逆に、AIへ任せすぎると、平均化されます。

だから必要なのは、人間らしさを仕組みに翻訳することです。

  • 会社として、どんな言葉を使うのか。

  • どんな時に人間が出るのか。

  • どんな顧客の声を、次の施策へ戻すのか。

  • どんな失敗を、学習として残すのか。

この問いを仕組みへ落とす。

図解の要点は、人間らしさを気持ちの問題で終わらせないことです。

情緒としての人間らしさは、担当者の性格に依存します。

競争優位としての人間らしさは、会社の判断基準として残ります。

人間らしさは、属人化させると品質のばらつきになる。仕組みに戻すと、ブランドの資産になる。

***

7. AI時代に価値になるのは、「上手に作る人」ではなく「よく残す人」である

AIは、作る速度を上げます。

だから多くの会社は、出力量を増やします。

  • 記事を増やす。

  • 広告案を増やす。

  • メルマガを増やす。

  • 動画を増やす。

  • 資料を増やす。

一見、合理的です。

しかし、出力が増えるほど、別の仕事が重要になります。

  • 何を残すか。

  • 何を出さないか。

  • どの言葉を、自社の言葉として使い続けるか。

  • どの顧客の声を、判断基準へ戻すか。

  • どの失敗を、次の人が繰り返さないように残すか。

AI時代の競争力は、作った量ではなく、残した判断の質へ移ります。

LinkedInの2024年の最需要スキルでは、コミュニケーションが全体1位に置かれています。同社は、AI時代に企業が必要とする人間中心のスキルとして、顧客サービス、リーダーシップ、適応力、問題解決、リサーチを挙げています。9割のグローバル経営幹部が、ソフトスキル、つまり人間的・耐久性のあるスキルがこれまで以上に重要だと答えたとも報告されています。

これは、「人間は人間らしくあれ」という精神論ではありません。

AIによって作業が速くなるほど、チームをつなぐ言葉、顧客への理解、判断の共有、状況変化への適応が、事業の速度を決めるという話です。

AIが作るほど、人間は残す仕事へ移る。残すべきなのは成果物ではなく、判断の理由である。

***

8. 人間らしさを競争優位に変える「5つの残し方」

ここから、実務で使える形に落とします。

人間らしさを競争優位に変えるには、曖昧な感覚を、残せるものへ変える必要があります。

僕は、次の5つで見ています。

体験を残す → 文脈を残す → 違和感を残す → 関係を残す → 責任を残す

これを、Human Advantage Loopと呼んでいます。

1. 体験を残す

ただ「顧客が困っていた」と書かない。

どんな場面で、どんな言葉を使い、どこで手が止まったのかを残す。

AIに渡す素材は、一般論ではなく一次情報であるほど強い。

2. 文脈を残す

なぜ、その言葉を使ったのか。

なぜ、その顧客へその順番で話したのか。

なぜ、今回は売らない判断をしたのか。

文脈を残さないと、次の人もAIも、同じ判断を再現できません。

3. 違和感を残す

数字は良いが、顧客の熱が低い。

AIの文章は正しいが、会社の言葉ではない。

この違和感を、「気のせい」で捨てずに記録する。

違和感は、まだ言語化されていない改善の入口です。

4. 関係を残す

顧客との約束、過去のやり取り、相手の大事にしていること。

人間らしさは、その場の接客態度だけではなく、関係の記憶として現れます。

5. 責任を残す

最後に、誰が何を決めたのかを残す。

AIが提案したからではなく、自分たちが選んだ理由を残す。

うまくいっても、失敗しても、責任の所在があるから学習できます。

人間らしさは、感じさせるものではない。体験、文脈、違和感、関係、責任を、次の判断へ残すことで競争優位になる。

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9. ただし、人間らしさは「非効率」を正当化しない

ここで、誤解を潰しておきます。

人間らしさが大事だから、AIを使わない。

人間らしさが大事だから、すべて人が返信する。

人間らしさが大事だから、効率化しない。

これは違います。

人間らしさは、非効率の言い訳ではありません。

AIで速くできることは、速くした方がいい。

定型処理は、自動化した方がいい。

同じ説明を何度も繰り返すなら、AIや仕組みに渡した方がいい。

人間が持つべきなのは、作業量ではありません。

文脈と責任です。

World Economic ForumのFuture of Jobs Report 2025では、2025年から2030年にかけて、働く人の中核スキルの39%が変化または陳腐化すると見込まれています。また、分析的思考、創造的思考、レジリエンス、柔軟性、機敏性などの需要が高まると整理されています。

つまり、人間らしさは「昔の働き方へ戻る」ことではありません。

AIで変わる仕事の中で、人間が握る部分を決め直すことです。

人間らしさは、AIを拒む姿勢ではない。AIに渡すものと、人間が握るものを分ける判断である。

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10. 僕自身も、AIで“整いすぎる”失敗をした

僕自身も、AIをかなり使っています。

  • リサーチ。

  • 構成。

  • 見出し案。

  • SNSコピーの初稿。

  • 長い文章の比較。

使わない日は、ほとんどありません。

ただ、ある時期、AIを使うほど、自分の文章が整いすぎていく感覚がありました。

  • 論理は通っている。

  • 見出しもきれい。

  • 言い回しも読みやすい。

でも、自分の中に残っていた、街の匂い、山梨でぼんやり考えた時間、DJでフロアの温度を読む感覚、料理で順番を変える感覚が、文章から消えていく。

AIが悪いのではありません。

僕が、AIに渡す前の素材を薄くしていたのです。

そこで、書く前に、必ず一次情報を置くようにしました。

  • 今日、自分が見たもの。

  • 支援先で聞いた言葉。

  • 違和感が残った会議。

  • 生活の中で引っかかったこと。

  • 本の中で線を引いた一文。

AIに渡すのは、そのあとです。

AIには、構成を任せる。

比較を任せる。

抜け漏れを探してもらう。

でも、最初の素材と最後の判断は、自分で握る。

AIで文章が薄くなる時、原因はAIではない。人間側が、渡す前の体験を薄くしている。

週20時間で経営するようになってから、この感覚はさらに強くなりました。

時間が少ないからこそ、作業をAIに渡す。

でも、余白を削ると、AIに渡す素材が弱くなる。

結局、判断の質は、余白と生活から生まれる部分があります。

***

11. 人間らしさは、ブランドの“声”ではなく“約束”である

ブランドの人間らしさは、トーンだけで決まりません。

  • 親しみやすい文体。

  • 柔らかいビジュアル。

  • 顔が見える発信。

これらは入口です。

ただ、ブランドの人間らしさは、最終的には約束で決まります。

  • 何をしてくれるのか。

  • 何をしないのか。

  • 困った時に、どこまで向き合うのか。

  • 間違えた時に、どう説明するのか。

  • 顧客の事情が標準から外れた時に、どう扱うのか。

ここが曖昧なまま、トーンだけ人間らしくしても、ブランドは強くなりません。

Edelmanの2025年Trust Barometerでは、AIは信頼の分岐点にあり、透明性、ガバナンス、目的への理解が重要だと整理されています。技術そのものではなく、人が理解し、予測し、信頼できる枠組みが求められているということです。

AIを使う会社が増えるほど、顧客は問い始めます。

これは誰が決めたのか。

この言葉に、会社は責任を持つのか。

困った時、人は出てくるのか。

自分は、ただ処理されているのか。

ブランドの競争優位は、この問いへの答えに現れます。

ブランドの人間らしさは、声の温度ではなく、約束を破らない判断の積み重ねでできている。

***

12. 明日から使える「人間らしさの5行メモ」

最後に、今日から使える形にします。

AIで何かを作る前に、次の5行を書いてください。

体験:実際に見た顧客・現場・自分の経験は何か
文脈:なぜ今、この相手に、この言葉を出すのか
違和感:AIの平均的な答えでは拾えない引っかかりは何か
関係:この発信で、相手との関係をどう変えたいか
責任:この言葉や判断に、自社は何を引き受けるのか

たとえば、記事を書く前なら、こうです。

体験:支援先で、AI記事を増やしたのに指名相談が減った。
文脈:読者は情報ではなく、この会社に相談する理由を探している。
違和感:AIの文章は正しいが、失敗や判断の痕跡がない。
関係:読者に「この人なら自分の複雑な事情も扱えそう」と感じてもらう。
責任:一般論ではなく、実際に見た構造と判断基準を書く。

問い合わせ返信なら、こうです。

体験:同じ質問が3回続いている。
文脈:顧客は仕様より、失敗した時の責任所在を心配している。
違和感:FAQを送るだけでは、相手の不安が残る。
関係:処理ではなく、状況を理解していると伝える。
責任:次に何が起きるかを、こちらから明確に案内する。

この5行があるだけで、AIの出力は変わります。

文章の温度ではなく、判断の起点が変わるからです。

AIに人間らしい文章を書かせる前に、人間側が何を見て、何を引き受けるのかを言葉にした方がいい。

***

13. おわりに:人間らしさは、最後に残る装飾ではなく、最初に置く前提である

AI時代に、人間らしさが競争優位になる。

この言葉だけを見ると、少し懐古的に聞こえるかもしれません。

でも、僕は逆だと思っています。

AIを本気で使うほど、人間らしさは曖昧な感情ではなく、経営の中核になります。

なぜなら、AIは作るからです。

大量に、速く、整えて、平均点以上のものを作る。

だから人間は、見る必要がある。

何を見たのか。

何を選ぶのか。

何を捨てるのか。

誰との関係を守るのか。

どの言葉に責任を持つのか。

この判断が、会社の差になります。

「言語化できない人は、なぜ評価されないのか」では、価値を他者が判断できる証拠へ変える話を書きました。

「仕事ができる人ほど『違和感』を大切にする」では、まだ数値になっていない先行指標を拾う話を書きました。

「僕が顧問・アドバイザリー先を『年間5社』に絞る、本当の理由」では、文脈を持ち続けることが、助言の質を決めると書きました。

今回のテーマは、その3つをつなぐ話です。

価値を言葉にする。

違和感を捨てない。

文脈を持ち続ける。

そのすべてが、AI時代の人間らしさになります。

人間らしさとは、AIにできないことを探すことではない。AIができることを前提に、自分たちが何を引き受けるかを決めることだ。

素材を集める。

AIに渡す。

出てきたものを見比べる。

違和感を拾う。

文脈へ戻す。

残すものを決める。

責任を持って、外へ出す。

僕にとって、これがAI時代の設計と編集です。

このレターが役に立ったら、AI導入で発信や顧客接点が増えているのに、なぜか選ばれる理由が薄くなっている会社の方へ転送してください。

このテーマを継続して読みたい方は、無料登録しておいてください。

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サポートメンバー向けに、次は「AIに渡す前の人間側の判断基準」を開きます

Business Growth Letterでは、無料記事では思想と構造を出し切り、サポートメンバー向けには、現場でそのまま使えるテンプレートや運用の裏側を出しています。

今回のテーマで、今後開けるのは次の内容です。

  • AIに渡す前に書く「人間側ブリーフ」

  • AI出力から“会社らしさ”を判定するチェックリスト

  • 顧客接点を「AIでよい/人間が出る」に分ける判断表

  • ブランドOSへ人間らしさを記述するテンプレート

  • 編集キューで人間が見るべき5つの項目

読むだけで終わらせず、自社のAI活用とブランドの判断基準まで見直したい方は、サポートメンバーも検討してみてください。

サポートメンバー登録はこちら: https://business-growth.theletter.jp/

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相談導線

「AIで発信量は増えたが、指名される理由が薄くなっている」

「AIに任せる接点と、人間が出る接点の境界が決まっていない」

「ブランドらしさを、プロンプトや承認基準に落とし込めていない」

「人間らしさを、属人的な接客ではなく仕組みにしたい」

こういう段階でも問題ありません。

こんなことを相談していいのか、というレベルで大丈夫です。最初から整理されている必要はありません。むしろ、まだ言葉になっていない違和感を一緒に並べ、AIに渡すものと人間が握るものを分けるところから始めます。

30分のオンライン無料相談: https://calendar.app.google/wyqEKYtG5xT9Lxvr6

60分のオンライン無料相談: https://calendar.app.google/5xUVULGtrf8hZeTLA

「まずAI活用の境界だけ整理したい」場合は30分。事業・ブランド・顧客体験・Marketing-OSまで含めて見直したい場合は60分が向いています。

***

山口偉大からの告知

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戦略・上流

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実行・制作

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組織・変革

インハウス化、研修、CxO代行、組織設計、業務効率化、CS体制構築、ツール導入、ワークショップ運営。

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