謎の「NOPE」現象はなぜ起きたのかを徹底的に分析してみた
こんにちは!山口です。
このニュースレターでは、企業のマーケティングや事業グロース戦略等について分析していきます。時折、ゲストを招いた対談記事なども配信していけたらと考えています。
ビジネス成長の"最強の武器"になるニュースレターを目指して配信していきますので、ぜひ応援のほどよろしくお願いします。
まずは無料購読をして、味見してください。
✓ レターのテーマ
・マーケティング
・事業戦略
・企業/事業分析
・汎用的なビジネスノウハウ
・キャリア論
自己紹介
まずは簡単な自己紹介から。略歴はこんな感じです。
経歴
山梨県出身、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。PR会社「株式会社ベクトル」にてPRコンサルタントとして従事したのち、「株式会社Branding Engineer(現 株式会社TWOSTONE&Sons)」へ参画、各種人材・DX関連の事業立ち上げや事業部長・経営企画を歴任し独立。上場企業から地方の中堅・中小企業まであらゆる業種・規模感の新規事業開発 / マーケティング / ブランディング / PR支援等を実施。その後「Start-X合同会社」を設立。マーケティングや事業開発、クリエイティブ制作等の支援事業と共同・自社事業を複数展開。複数企業の顧問・アドバイザーも兼務。
各種SNSアカウント
X:https://x.com/yamaguchi_take
Facebook:https://www.facebook.com/yamaguchi.takehiro0129
Instagram:https://www.instagram.com/yamaguchi_take/
note:https://note.com/yamaguchi_take
はじめに:「健康志向の時代に、なぜこれが売れるのか」
2026年3月24日。
サントリーがある飲料を全国発売した。
600mlペットボトル1本あたり336kcal。糖度を示すブリックス値は13.3。健康志向全盛のこの時代に、まるで「身体に悪いことを誇る」ように設計された炭酸飲料だ。
結果、発売からわずか1週間で出荷本数2,000万本を突破。令和以降に発売されたサントリー炭酸飲料で史上最速の記録を更新した。
(出典:サントリービバレッジ&フード プレスリリース、2026年4月3日)
SNSでは発売初週だけで投稿数が1万件を超えた。CMが「ミーム化」して大喜利のような投稿が拡散。「NOPE割り」という飲み方がSNSで流行した。BOSSの自動販売機が許可なく"ジャック"された。
これは、偶然ではない。
全部、設計の結果だ。
今回は、この「NOPE現象」を徹底的に分解する。なぜ、健康志向全盛の時代に「ギルティ炭酸」が爆発的に売れたのか。その構造を、マーケティングと事業戦略の両面から解剖していきたい。
第1章:そもそも「NOPE」とは何か
1-1. 14年ぶりの大型飲料ブランドという事実
まず、この商品の「重さ」を理解してほしい。
サントリーにとってNOPEは、約14年ぶりの大型飲料ブランドだ。
(出典:宣伝会議 AdverTimes、2026年3月17日)
「今年最大の注力商品」と社内で位置づけられ、フルメディアを投下する方針が明言されていた。TV-CM、OOH(屋外広告)、体験型イベント、SNS、店頭販促——全方位で仕掛けが設計されていた。
これは「なんとなく出した新商品」ではない。
炭酸飲料市場の構造問題に真正面から挑んだ、戦略的な一手だ。
1-2. 開発の背景にあった3つの潮流
サントリーがNOPEの開発背景として公式に挙げているのは3つだ。
(出典:サントリー食品インターナショナル 戦略説明会、2026年3月17日)
潮流①:若者の「ストレス溶解」ニーズ
従来のストレス発散は「アウトプット型」だった。飲み会、カラオケ、スポーツ——多人数でパーッと発散する形だ。
しかし20〜30代を中心に、ストレス解消のスタイルが変わってきている。動画配信を見ながらフードデリバリーを頼んで、1人でだらだらと気分を"溶かす"「インプット型」だ。
潮流②:「ギルティ消費」の高まり
健康志向が強まる一方で、あえて「後ろめたいもの」を楽しむ消費行動が伸びている。ヘルスケアフード市場が拡大する裏で、ギルティフード市場も直近5年間で大きく伸長している。消費が二極化しているのだ。
(出典:サントリー食品インターナショナル プレスリリース、2026年3月17日)
潮流③:甘濃い嗜好炭酸の伸長
糖度(Brix値)別の市場を見ると、低糖のすっきり健康系が堅調な一方、高糖度の甘濃い領域はそれ以上に伸長していた。健康志向と「背徳的な甘さ」、市場は二極化していた。
1-3. 商品名「NOPE」に込められた意味
「NOPE」は、「NO」をカジュアルに言い換えた英語表現。
「こうあるべき」という価値観を軽く否定し、「今日はもういいや」と気を抜く感覚に寄り添ったネーミングだ。
(出典:ASCII.jp、2026年3月)
ブリックス値13.3の甘濃い設計、99種以上のフレーバーを掛け合わせた複層的な味わい、ブラック&マゼンタという店頭で際立つパッケージ——全てが「健康的な飲料とは真逆」というコンセプトで一貫している。
第2章:何が起きたのか——NOPE現象の実態
2-1. 発売1週間で2,000万本という数字の意味
発売からわずか1週間で出荷2,000万本。
単純に希望小売価格(税別200円)で計算すると、出荷ベースで約40億円規模だ。中期目標の1,000万ケース(24本入り=2億4,000万本)を達成すれば、年間売上は数百億円規模になる。
(出典:補助金さがすAI、2026年4月7日)
2-2. CMのミーム化という現象
3月21日から放映が始まったTV-CMが、SNS上で異例の拡散を見せた。
CMのタイトルは「ギルティ監獄」篇。
生田斗真、鈴鹿央士、アントニーが囚人服を着て登場。「夜中にアイスを食べた」罪で収監された新入りに、先輩囚人が「欲望に負けちゃうくらいが人間らしいんじゃねぇの?」と語りかける。BGMは電気グルーヴの「富士山」。
このCMが、X上で大喜利のように2次加工されて拡散した。
(出典:宣伝会議 AdverTimes、2026年3月30日)
2-3. BOSS自販機ジャック事件
これが最も象徴的なエピソードだ。
サントリーの老舗コーヒーブランド「BOSS」のおなじみの青い自販機が、NOPEのロゴとパッケージデザインで"上書き"されたように見えるデザインの自販機が登場した。
実際には事前確認を経ずに進められ、話題になってから担当者へ報告したという。
(出典:宣伝会議 AdverTimes、2026年4月9日)
2-4. 「NOPE割り」の自然発生
SNS上でもう一つ広がった現象が「NOPE割り」だ。
ウイスキーで割ったり、焼酎で割ったり——NOPEをベースにしたアレンジ飲みの投稿がSNSで続出した。
さらに、X(旧Twitter)とInstagramの口コミを集計すると「美味い・ハマる」が約6割、「苦手・微妙」が約4割と、見事に評価が割れている。
重要なのは次の事実だ。
「判断保留」の人の多くが結局リピート購入している。「気になって2本目を買ってしまった」という声が多い。
(出典:【絶対解決】ZETTAI、2026年)
▼ ここから先は登録者限定コンテンツです
以下の分析パートは、Business Growth Letterの登録者のみ閲覧いただけます。
登録は無料です。登録後すぐに、全文をお読みいただけます。
[無料で登録して続きを読む]
登録者限定コンテンツの内容:
✅ 第3章:なぜ売れたのか——7つの構造的理由の深掘り
✅ 第4章:サントリーが本当にやった「マーケティング構造」の解剖
✅ 第5章:この事例から何を学ぶか——規模に関係なく使える6つの原則
✅ 第6章:NOPEは中長期的に勝てるのか——持続性の検証
この記事は無料で続きを読めます
- 第3章:なぜ売れたのか——7つの構造的理由
- 第4章:サントリーが本当にやった「マーケティング構造」
- 第5章:この事例から何を学ぶか
- 第6章:NOPEは中長期的に勝てるのか
- 最後に
すでに登録された方はこちら




