グロースを止める「優秀な組織」の危険性
こんにちは!山口です。
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✓ レターのテーマ
・マーケティング
・事業戦略
・企業/事業分析
・汎用的なビジネスノウハウ
・キャリア論
自己紹介
まずは簡単な自己紹介から。略歴はこんな感じです。
経歴
山梨県出身、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。PR会社「株式会社ベクトル」にてPRコンサルタントとして従事したのち、「株式会社Branding Engineer(現 株式会社TWOSTONE&Sons)」へ参画、各種人材・DX関連の事業立ち上げや事業部長・経営企画を歴任し独立。上場企業から地方の中堅・中小企業まであらゆる業種・規模感の新規事業開発 / マーケティング / ブランディング / PR支援等を実施。その後「Start-X合同会社」を設立。マーケティングや事業開発、クリエイティブ制作等の支援事業と共同・自社事業を複数展開。複数企業の顧問・アドバイザーも兼務。
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はじめに:「できる人が集まっているのに、なぜか前に進まない」
経営現場で、何度も同じ光景を見てきた。
採用に力を入れた。優秀な人材が揃っている。プロセスも整備されている。数字の管理も徹底されている。
なのに、事業が動かない。
新しい施策を提案しても、どこかで止まる。意思決定が遅い。挑戦しようとすると、組織の「重力」のようなものに引き戻される。
不思議なことに、こういう状態に陥っている企業ほど、「うちには優秀な人間が揃っている」という自信を持っていたりする。
これは矛盾ではない。
「優秀な組織」と「グロースできる組織」は、根本的に別物だ。
そして最も危険なのは、この二つを混同することだ。
「優秀な組織」は、グロースの邪魔をしない。
むしろ、「優秀な組織」こそが、最も巧妙な形でグロースを止める。
今回は、この構造を徹底的に分解する。
「優秀さ」が「成長の天井」になるメカニズムと、そこから抜け出すための考え方を整理したい。
第1章:「優秀な組織」の定義を問い直す
まず、「優秀な組織」とは何か、を整理しておく必要がある。
1-1. 組織の「優秀さ」は、何を基準にしているのか
多くの場面で「優秀な組織」と呼ばれる企業には、共通した特徴がある。
採用基準が高く、学歴や前職のブランドが揃っている
プロセスが整備され、業務品質が安定している
会議の質が高く、論理的な議論ができる
KPIが明確で、数字の管理が徹底されている
社内でのコミュニケーションが洗練されている
これらは、全て本物の強みだ。
しかしここで、根本的な問いを立てたい。
その「優秀さ」は、何に対して優秀なのか。
答えは明確だ。
「今やっていることを、うまくやること」に対して優秀なのだ。
これは「既存業務の最適化」における優秀さであって、「まだ存在しないものを作る」ことにおける優秀さではない。
この区別を、多くの経営者が意識していない。
1-2. 「優秀さ」は、過去への適応の産物だ
生物学に「適応」という概念がある。
環境に適した形質が選択され、その環境での生存確率が上がる。
しかし、環境が変わったとき、その適応は「ミスフィット」に変わる。
組織の「優秀さ」も、同じ構造を持っている。
今の「優秀な組織」は、これまでの事業環境の中で選択されてきた特性の集積だ。
既存顧客へのサービス品質、既存チャネルでの営業力、既存プロダクトの品質管理——これらが高水準であることが評価されてきた結果として、今の「優秀な組織」が形成されている。
つまり、
「優秀な組織」は、過去の勝ちパターンへの最適化の産物だ。
市場が変わったとき、その最適化が邪魔をする。
第2章:「優秀な組織」がグロースを止める、5つのメカニズム
では、なぜ優秀な組織が、グロースを止めるのか。
そのメカニズムを5つに整理する。
メカニズム①:「正解を知っている人」が、仮説を殺す
優秀な人材が集まった組織では、意思決定の質が高くなる。
一見、良いことだ。
しかし「意思決定の質が高い」ということは、「間違えることが少ない」ということでもある。
グロースに必要なのは、何か。
不確実な状況で、「確証がない仮説」に賭けることだ。
データが揃っていない。答えが見えていない。失敗する確率もある。それでも、「これが正しいはずだ」という判断で動き始めること。
ここに、優秀な組織の最初のパラドックスがある。
「正解を知っている」優秀な人ほど、「まだ正解が見えない領域」に踏み込むことへの抵抗が大きい。
「なぜそれをやるのか、論理的に説明してほしい」
「この仮説の根拠となるデータはあるか」
「リスクを定量的に示せるか」
これらの問いは、全て正当だ。
しかし、グロースの初期段階における意思決定は、この問いに答えられない状態で行われる。
答えられないから、優秀な人が「ノー」と言う。
優秀な組織が、グロースの芽を摘む最初の瞬間だ。
メカニズム②:「コンセンサス文化」が、スピードを殺す
優秀な組織は、合意形成のプロセスが丁寧だ。
関係者全員の意見が聞かれ、反論が整理され、最終的に「全員が納得した判断」が下される。
これは、組織としての成熟の証だ。
しかし、グロースにおいてこの「コンセンサス文化」は、致命的な遅さを生む。
新しいことをやろうとすると、全ての関係者の合意が必要になる。
合意を取るために、説明資料を作る。
説明しても、懸念を持つ人がいる。
懸念を解消するための追加調査をする。
追加調査の結果を共有する。
また懸念が出る。
気づけば3ヶ月が経っている。
市場では、その3ヶ月で何かが変わっている。
「全員が納得する意思決定」は、「誰も反対しない意思決定」に限りなく近づく。
そして「誰も反対しない意思決定」は、往々にして「現状維持」か「過去の成功の繰り返し」になる。
コンセンサスを追求するほど、チャレンジは消えていく。
メカニズム③:「完成度への執着」が、スタートを殺す
優秀な人材は、アウトプットの品質に誇りを持っている。
「中途半端なものは出したくない」という意識が、仕事の精度を高める。
これは、既存事業の品質管理においては正しい。
しかし、グロースの初期段階では、この「完成度への執着」が最大の障害になる。
新規事業や新しい施策は、最初から完成形にはならない。
粗削りな状態で市場に出して、反応を見て、改善する。
この「未完成のまま動き始める」ことへの耐性が、優秀な組織には構造的に低い。
なぜか。
完成度が低いアウトプットを出すことは、その人の「優秀さ」の否定になるからだ。
結果として、「完成してから動こう」という判断が積み重なり、新しい取り組みは永遠に「準備中」のまま時間が過ぎる。
スタートアップが優秀な大企業に勝てる場面が、ここにある。
スタートアップには失うプライドがない。だから、粗削りなまま市場に出せる。
プライドを持った優秀な組織は、その粗削りなスタートができない。
メカニズム④:「優秀さの基準」が、同質化を加速する
優秀な組織は、採用基準が高い。
「この会社に入れる人間」のイメージが明確で、そのイメージに合う人材が選ばれていく。
これが続くと、何が起きるか。
組織が同質化していく。
同じような背景、同じような思考様式、同じような強みを持った人間が集まる。
同質化した優秀な集団は、既知の問題を解くことに圧倒的に強い。
しかし、「まだ誰も解いたことのない問題」に出会ったとき、その同質性が弱点になる。
多様な視点がないから、盲点が大きくなる。
「優秀な人材の基準」から外れた、異質な視点を持つ人間が、自然と排除されていく。
その異質な視点こそが、しばしばグロースの突破口になるにもかかわらず。
「優秀さ」の基準が均質になるほど、組織は「既存の正解」を深掘りし続け、「新しい正解」を見つけることが難しくなる。
メカニズム⑤:「組織の免疫システム」が、変化を排除する
これが最も見えにくく、最も強力なメカニズムだ。
組織には、「免疫システム」が存在する。
生物の免疫システムが「異物」を排除するように、組織の免疫システムは「既存の秩序と合わない提案や行動」を排除しようとする。
この免疫システムは、悪意によって機能しているわけではない。
組織を守ろうとする、善意の人々によって機能している。
「それは今の戦略と整合しているのか」
「リスクの評価は十分か」
「このタイミングでやる必要があるのか」
これらの問いは、全て正当だ。
しかし、グロースの種は往々にして、「今の戦略」とは整合しない方向から芽吹く。
優秀な組織の免疫システムは、通常の組織より遥かに精密で、遥かに強力だ。
優秀な人材が集まっているから、「なぜこれをやるべきでないか」の論理構築が得意だ。
反論が緻密で、論理的で、もっともらしい。
結果として、グロースの芽は、最初の議論の段階で、論理的に正しい理由で、摘み取られていく。
第3章:「優秀な組織がグロースを止めた」企業のパターン
理論だけでは掴みにくいので、現場で見てきたパターンを整理する。
パターンA:「分析が得意な組織」の罠
ある中堅メーカーでの話だ。
マーケティング部門は、業界でも有数の「分析力」を持っていた。
競合調査、市場分析、顧客セグメンテーション——どれを取っても、精度が高い。
新しいデジタルチャネルへの参入を検討したとき、このチームが動き出した。
3ヶ月後、出てきたのは120ページの分析レポートだった。
市場規模、競合プレイヤーの分析、想定ROI、リスクシナリオ——全てが揃っていた。
しかし、誰も「では動こう」とは言わなかった。
レポートの中に「不確実性が高い」という記述があったからだ。
「不確実性が高い」という分析は、正しかった。
しかし、デジタルチャネルへの参入において「不確実性が高い」のは、全てのプレイヤーにとって同じ条件だ。
その不確実性の中に先行して入ることが、競争優位の源泉だったにもかかわらず、
「分析の結論が出た」ではなく「分析が完成した」が組織のゴールになっていた。
2年後、そのチャネルを押さえた競合がシェアを拡大していた。
「もっと早く動くべきだった」という反省が語られたが、組織の意思決定プロセスは何も変わっていなかった。
パターンB:「論理が強い組織」の罠
あるSaaS企業での話だ。
プロダクト部門には、MBAや外資コンサル出身者が多く、論理構成力が高い人材が集まっていた。
新しい機能を開発しようとすると、必ず「なぜその機能が必要なのか」の論理的な説明が求められた。
顧客からのフィードバックを持ってきても、「サンプルサイズが小さい」と言われる。
市場調査のデータを持ってきても、「この調査の設計に問題がある」と指摘される。
競合が似た機能をリリースしても、「競合の成功はまだ証明されていない」と言われる。
どんな根拠を持ってきても、論理的に反論できる人間がいる。
そして、その反論は正しいことが多い。
「論理的に反論できること」と「やらない方がいいこと」は、同じではない。
しかし優秀な組織では、「論理的に反論できた=やらない」という意思決定が、自然に行われる。
結果として、競合のプロダクトに次々と機能で追い抜かれていった。
完璧な論理は、「今できることを証明する道具」であって、「まだ見えない可能性を開く道具」ではない。
パターンC:「評価制度が優秀な組織」の罠
あるサービス業の大手企業での話だ。
人事評価制度が非常に洗練されていた。
目標設定、中間レビュー、最終評価——全てのプロセスが明確で、フェアだと従業員からも評価されていた。
その評価制度の核心にあったのは、「コミット数値の達成率」だった。
設定した目標を達成した人間が、高く評価される。
これは合理的に見える。
しかし、この制度が組織にもたらした最大の副作用がある。
誰も「達成が難しい目標」を設定しなくなった。
「達成できなかったらどうなるか」という恐れが、目標の「下方修正」を自然に促す。
そして、全員が「達成できる目標」を設定するようになると、組織全体の成長率は、「達成できる範囲」を超えられなくなる。
「評価制度が優秀な組織」は、評価制度が優秀なほど、安全な目標しか設定されなくなる。
これは評価制度の問題ではない。
「優秀であることへのプレッシャー」が生み出す、構造的な問題だ。
第4章:「優秀な人材」が変化に最も抵抗する、深層の理由
ここまで読んで、こう思った人がいるかもしれない。
「でも、優秀な人材は変化への適応力もあるのでは?」
確かに、個人として見れば、優秀な人材は学習能力も高い。
しかし、組織の中では、話が変わる。
4-1. 優秀な人材は「失うものが最も多い」
優秀な人材は、現在の「優秀さ」を証明するために、多くのリソースを投資してきた。
スキルの習得、経験の蓄積、組織内での評判——これらは全て、「今の仕事でうまくやること」への投資だ。
変化が起きると、この投資の価値が毀損されるリスクがある。
新しい領域では、また一から証明しなければならない。
現在の地位が高い人ほど、「新しい場所でまた一から始めること」への心理的コストが高くなる。
だから、変化を論理的に否定する動機が、無意識に生まれる。
「その変化のリスクが大きい」という分析は、しばしば「私が新しい場所で一から証明しなければならないことへの恐れ」を、論理の衣に包んだものだ。
組織の中で最も優秀な人が、最もこの心理から自由ではない。
4-2. 「優秀さ」の定義を自分が持っている人ほど、その定義を守ろうとする
組織の中で長く「優秀」と評価されてきた人間は、ある種の確信を持つようになる。
「自分が正しいと思うやり方が、正しいやり方だ」という確信だ。
これは傲慢さではない。
実績に裏付けられた、自然な確信だ。
しかし、この確信が問題を生む。
新しい取り組みが提案されたとき、「自分のやり方」との差分を検知し、否定的に評価するフィルターが働く。
「これは自分が正しいと思うやり方ではない」という感覚が、「これは正しくない」という判断に変換される。
個人の「優秀さの文法」が、組織の「変化を許容する余地」を狭める。
組織の中に「優秀さの定義を握っている人」が多ければ多いほど、その定義から外れた提案は、日の目を見ない。
第5章:「優秀な組織のまま、グロースする」ための設計
では、どうすればいいのか。
「優秀さを捨てろ」という話ではない。
優秀さを保ちながら、グロースの余白を作るための設計だ。
設計①:「優秀さの定義」を二層に分ける
最初に必要な設計は、「優秀さの定義」を二つに分けることだ。
既存事業における優秀さ:プロセスの完成度、品質の安定性、数字の達成率
新しい挑戦における優秀さ:仮説の設定速度、実験の数、失敗からの回収速度
この二つを、同じ軸で評価しないことが重要だ。
既存事業では「正確さ」が評価される。
新しい挑戦では「速さ」と「学習量」が評価される。
この区別がなければ、新しい挑戦は常に「既存事業の基準」で評価され、「精度が低い」という理由で否定される。
グロースとは、今の「優秀さの基準」の外に踏み出すことだ。
だから、グロースのための評価軸は、今の優秀さの基準とは別に設定される必要がある。
設計②:「意思決定の種類」を分類する
コンセンサスが必要な意思決定と、そうでない意思決定を分ける。
戻れない意思決定(大きな投資、不可逆な組織変更):コンセンサスと精緻な検討が必要。
戻れる意思決定(小規模な実験、新しい施策の試行):一人の責任者が速く決める。
多くの優秀な組織では、この分類が機能していない。
全ての意思決定が「戻れない決定」として扱われ、全てにコンセンサスと精緻な検討が要求される。
戻れる意思決定をコンセンサスで処理している組織は、スピードという競争軸で必ず負ける。
設計③:「完成前に出す」文化のための「安全地帯」を作る
完成度への執着を持つ優秀な組織で、「未完成のまま出す」という行動を生み出すためには、「それが評価される文脈」を明示的に作ることが必要だ。
具体的には、「プロトタイプレビュー」という場を設定する。
この場は、「完成品の評価」の場ではなく、「仮説の共有と改善」の場として設計する。
ルールはシンプルだ。
この場でのアウトプットは「完成度ではなく、仮説の鮮度と実験の速さ」で評価される。
「クオリティが低い」という批判は、この場では無効だ。
このような「場の設計」があることで、優秀な人材は「プライドを傷つけられないまま、未完成のものを出す」経験を積める。
「場のルール」を変えることで、人の行動は変わる。人を変えるより、場を変える方が速い。
設計④:「異質な人間」を組織に意図的に置く
同質化した優秀な組織に、意図的に「組織の文法を持っていない人間」を入れる。
これは、組織が「新しい問い」を生み続けるための仕組みだ。
「その当たり前、本当に当たり前ですか?」
「なぜそのやり方じゃないといけないんですか?」
こういう問いを、内側から投げかけられる人間がいるかどうかで、組織の「自己革新能力」が決まる。
優秀な組織は往々にして、こういう人間を「空気を読めない人」として処理してしまう。
しかしその「空気を読めない問い」こそが、組織の盲点を照らすものだ。
異質な人間を「問題」として見るか、「センサー」として見るか。
この判断が、組織の10年後を分ける。
設計⑤:「失敗の価値」を経営層が体で示す
最後の設計は、最も文化的なものだ。
「失敗してもいい」というメッセージは、多くの組織で言葉としては発されている。
しかしその言葉を、誰も信じていない。
なぜか。
経営層が、自分自身の失敗を見せないからだ。
「失敗してもいい」と言いながら、経営層自身が「自分の失敗」を一切組織と共有しない。
その矛盾を、組織は正確に読む。
「言葉では失敗してもいいと言っているが、実際には失敗した人間は評価が下がる」という現実を。
経営層が自分の失敗を語り、それが学びになったことを共有することが、「失敗を許容する文化」の最初の一歩だ。
これは精神論ではない。
行動の設計の話だ。
第6章:「優秀な組織」の「免疫抑制」——変化を受け入れる仕組みの設計
組織の免疫システムが強力なほど、外からの変化刺激を排除する。
この免疫システムを完全になくすことはできないし、すべきでもない。
しかし、特定の文脈では「免疫を抑制する」設計が必要だ。
医療の世界では、臓器移植の際に「免疫抑制剤」を使う。
新しいものを体が受け入れるために、一時的に免疫の働きを弱める。
組織においても、同様の設計が有効だ。
具体的には、「新しい取り組みを評価する際の基準を、意図的に変える」という方法がある。
例えば、「新規事業の提案は、最初の6ヶ月は従来の評価基準を適用しない」というルールを設ける。
ROIの計算も、完成度の評価も、一旦横に置く。
「仮説が明確か」「実験が設計されているか」「学びのスピードが速いか」だけを見る。
これが、組織の免疫システムに対する「免疫抑制剤」の役割を果たす。
「免疫を完全になくす」のではなく、「新しいものが根付くための一定期間、免疫の基準を変える」という設計が、組織変革の実践的なアプローチだ。
第7章:診断チェックリスト
あなたの組織が「優秀さがグロースを止めている状態」に陥っていないかを確認する。
「優秀な組織の罠」チェックリスト
以下の項目で、3つ以上当てはまれば、構造的な対処が必要だ。
□ 新しい施策の提案に「データはあるか」「根拠は何か」という問いが最初に来て、「やってみよう」という反応がほとんど出ない
□ 意思決定のスピードが、組織の成熟とともに遅くなっている
□ 採用基準が明確で、「この会社らしくない人」が自然と選考で落ちる傾向がある
□ 新しい取り組みが「完成してから」でないと、外部や他部署に共有されない
□ 最も優秀と評価されている人材が、新しいチャレンジより既存事業の深掘りを選ぶ傾向がある
□ 「失敗してもいい」と言葉では言っているが、実際に失敗した施策を表彰したり、その学びを組織全体で共有する仕組みがない
□ 新規事業や新しい施策が、既存事業の評価基準(ROI、完成度)と同じ軸で評価されている
□ 「優秀さの定義を握っている人」が会議室に複数いて、その定義から外れた提案が通りにくい
最後の問いかけ
「あなたの組織は、今やっていることを今より上手くやるのが得意ですか?それとも、まだやったことのないことを始めるのが得意ですか?」
前者に「はい」で後者に「ノー」なら、それは「優秀な組織」だ。
しかし、グロースに必要なのは後者の能力だ。
この問いに向き合い続けることが、「優秀な組織のまま成長し続ける」ための最初の一歩になる。
最後に
今回は「グロースを止める『優秀な組織』の危険性」というテーマで、その構造的なメカニズムと処方箋を整理してきました。
結論を改めて一言で言う。
「優秀な組織」と「グロースできる組織」は別物だ。そして多くの組織は、優秀さを手に入れた瞬間から、グロースの能力を少しずつ失い始める。
これは避けられない運命ではない。
「優秀さの定義を二層にすること」「意思決定の種類を分けること」「場のルールを変えること」——これらは全て、設計の問題だ。
経営現場で見てきて感じるのは、グロースが止まっている組織のほとんどが、「人の問題」ではなく「設計の問題」を抱えているということだ。
人は、場の設計が変われば、動き方が変わる。
「優秀な人間が揃っているのに前に進まない」と感じているなら、その人たちを責める前に、場の設計を問い直してほしい。
次回は「顧客が離れる本当の理由——満足度調査では絶対にわからないこと」をテーマに、顧客理解の盲点について深掘りします。
今後も、企業・事業の分析を通じてお役立ち情報を配信していきます。時間の許す限り、週1で頑張って発信していきますので、応援のほどよろしくお願いします。
ではでは。
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