資料を渡すのを、やめた話

――ビジネスはなぜ「編集力」で決まるのか
山口偉大 2026.09.21
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数年前、ほとんど同じ内容の資料を、二つの会社に渡したことがある。

市場の構造、顧客のデータ、競合の動き。同じ図、同じ数字。分量も似たようなものだった。規模も業界も、そう変わらない二社だった。

半年後。片方は新しい主力商品の形が見えていて、もう片方は、その資料をまだ「参考資料」と呼んでいた。

正直、少し落ち込んだ。自分が渡したものの中身は、結果をほとんど決めていなかったからだ。もし資料の質が結果を決めるなら、二社は同じ場所にいたはずだった。

では、何が決めたのか。

伸びたほうの会社は、僕の資料をそのまま受け取らなかった。全体の一部だけを切り取って、自社の現場で起きていた別の出来事とつなぎ、自分たちの順番で並べ直していた。もう一方は、丁寧に、全部を保管した。

どこを切り取り、何と何をつなぎ、どんな順番で並べるか。

これを僕は「編集」と呼んでいる。このニュースレターで何度も使ってきた言葉だけれど、正面から書いたことがなかった。

今日はそれを書いていこうと思う。そして、この一件のあと、僕が自分の仕事をどう変えたかも、最後に書きます。

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続きは、5177文字あります。
  • 集める力から、関係をつける力へ
  • 編集とは、情報を関係させること
  • 編集という仕事の、3つの動作
  • AIは、どれをやってくれないのか
  • たいていの会社は、集めるところで止まっている
  • 編集力が高いと、何が変わるのか
  • それでも、編集だけでは勝てない
  • 3つの動作の、それぞれの鍛え方
  • 資料を渡すのを、やめた
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