資料を渡すのを、やめた話
数年前、ほとんど同じ内容の資料を、二つの会社に渡したことがある。
市場の構造、顧客のデータ、競合の動き。同じ図、同じ数字。分量も似たようなものだった。規模も業界も、そう変わらない二社だった。
半年後。片方は新しい主力商品の形が見えていて、もう片方は、その資料をまだ「参考資料」と呼んでいた。
正直、少し落ち込んだ。自分が渡したものの中身は、結果をほとんど決めていなかったからだ。もし資料の質が結果を決めるなら、二社は同じ場所にいたはずだった。
では、何が決めたのか。
伸びたほうの会社は、僕の資料をそのまま受け取らなかった。全体の一部だけを切り取って、自社の現場で起きていた別の出来事とつなぎ、自分たちの順番で並べ直していた。もう一方は、丁寧に、全部を保管した。
どこを切り取り、何と何をつなぎ、どんな順番で並べるか。
これを僕は「編集」と呼んでいる。このニュースレターで何度も使ってきた言葉だけれど、正面から書いたことがなかった。
今日はそれを書いていこうと思う。そして、この一件のあと、僕が自分の仕事をどう変えたかも、最後に書きます。
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