コンテンツSEOが効かなくなった時代の、発信の再設計に関して解説

――記事を増やす前に、AIが読んでいる場所を変える。5つの手順と、月1回のログの型を渡します。
山口偉大 2026.10.21
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月曜に、3つの質問を3つのAIに聞いて、保存してくださいと書きました。

やってみた方は、手元に9つの回答があるはずです。古い事業が出てきた。別の会社と混ざった。業種で聞いたら名前がなかった。あるいは、思ったよりまともだった。どれでも構いません。今日は、その9つの回答を最初の記録にして、発信を組み直す手順を書きます。

先に、この記事の立ち位置を言っておきます。SEOが終わったとは書きません。Googleは「AI機能のための特別な最適化は不要」と明言していて、通常のSEOはそのまま生きています。終わったのは、記事の本数を増やせば流入が増えるという、ここ10年の前提のほうです。前提が変わったのに、やることが同じままの会社が多い。そこを組み直します。

壊れたのは順位ではなく、順位の先

この章の要点を先に言うと、コンテンツSEOの前提は「記事→順位→流入」の3段でできていて、壊れたのは3段目です。

ここ10年、中小企業の発信はこういう組み立てでした。お客さまが検索しそうな言葉を洗い出す。言葉ごとに記事を書く。記事が順位を取る。順位が流入を連れてくる。流入の一部が問い合わせになる。記事の本数が増えるほど、拾える言葉が増え、流入が積み上がる。

この組み立ては、2つの前提の上に立っていました。順位を取れば人が来ること。そして、お客さまが検索エンジンで探すこと。

1つ目の前提が、崩れています。月曜に書いたとおり、AIによる概要が出る検索では、日本でも検索1位のクリック率が本来の見込みより62.7%低い(Ahrefs、2026年7月、推計値)。順位は取れている。でも来ない。

2つ目の前提も、半分崩れました。検索の手段として生成AIを使う人が52.3%。検索エンジンと生成AIの両方を使う人のうち、「検索の半分以上を生成AIに移した」と答えた人は46.6%(いずれもサイバーエージェントGEOラボ、2026年9月)。検索エンジンで探す人は、まだ多数派です。ただ、その多数派の中でも、AIに先に聞く割合が、1年半で2倍以上に増えています。そして、AIが「業種で聞かれたとき」に読むのは、検索順位ではなく、第三者があなたについて書いたものです。

Googleは、AIによる概要が出た検索結果からのクリックは「より質が高い」、つまり滞在が長い傾向があるとも書いています。来る人は減ったが、来る人の目的ははっきりしている。これ自体は悪いことではありません。問題は、来る人が減った分を、記事を増やして取り返そうとする反応のほうです。

ここが肝心なところです。記事を増やして順位を取る努力は、第1層(自社サイト)を厚くする努力です。でもAIが業種や比較で答えるときに読むのは、第2層(第三者の記述)です。だから、記事を増やせば増やすほど第1層は厚くなるのに、AIの説明は変わらない。努力の置き場所が、ずれています。

架空の例を引き合いに出しながら、この構造を見ておきましょう。

社員30人の業務用ソフトの会社が、3年かけてブログ記事を120本書いたとします。外部のライターに頼み、1本3万円、年間120万円。検索順位は取れました。業界の用語で検索すると、20本ほどが1ページ目にいる。流入は3年で4倍になり、問い合わせも増えた。ここまでは、計画どおりです。

今年に入って、流入が前年比で3割減りました。順位は変わっていません。Search Consoleを見ると、表示回数はむしろ増えていて、クリックだけが減っている。AIによる概要が、記事の中身を要約して、検索結果の上に出しているからです。読者は答えを得て、クリックせずに帰っていく。

同時に、営業の現場で別のことが起きていました。見込み客が「ChatGPTで業務用ソフトを比べたら、御社は出てきませんでした」と言う。120本の記事は、全部自社サイトにあります。第1層です。業種で聞かれたAIが読む第2層、つまり第三者が「この分野ならこの会社」と書いた場所に、この会社は一度も載っていませんでした。

繰り返しますが、架空の例です。でも、顧問・アドバイザリー先で聞く相談を分解すると、この形が多い。

支援先で聞く「LLMO対策って何をすればいいんですか」という質問は、言い換えると「第1層の努力を、もっとやればいいんですか」という質問です。答えは、違います。やることが増えるのではなく、やる場所が変わる。

「AIが比較して決めてくれるなら、ブランドは要らなくなるのでは」

もうひとつ、支援先でよく聞く言葉を置いておきます。「AIが比較して決めてくれるなら、ブランドづくりは要らなくなるのでは」。

逆です。AIが比較するとき、材料にするのは第三者の記述です。第三者が、あなたの会社を一言で何と書いているか。それが揃っていれば、AIはその一言で説明します。ばらばらなら、AIは業種名だけで説明するか、あなたを飛ばします。ブランドが要らなくなるのではなく、ブランドの一言が、第三者の場所にどれだけ同じ形で置かれているかが、そのままAIの説明の質になる。金曜に書いた「○○の会社」の話が、ここで効いてきます。

なぜ、今なのか

組み直すなら、今だと思っている理由を書いておきます。

Ahrefsの同じ分析で、日本のクリック率の低下は、2025年12月の38%から2026年6月の62.7%へ、半年で24.7ポイント進みました。米国は58%から68.8%で、10.8ポイント。日本のほうが、変化の途中にいます。AIによる概要が日本で始まったのが2024年8月、AIモードが2025年9月。米国より1年ほど遅れて、同じ坂を下っている最中です。

坂の途中ということは、第三者の場所がまだ埋まっていないということでもあります。あなたの業種で、「この分野ならこの会社」と第三者に書かれている会社は、まだ少ない。今から第2層に載りにいく会社は、空いている場所に載れます。1年後、同業の多くが同じことに気づいたとき、場所は埋まっています。

もうひとつ。月曜に保存してもらった9つの回答は、今のあなたの会社の、AIから見た姿の「初回の記録」です。これがあると、90日後に、何が変わったかを言えます。記録のない会社は、1年後も「なんとなく、AIに出てこない気がする」と言い続けることになります。

発信の再設計、5つの手順

この章の要点を先に言うと、再設計は5つの手順で進めます。順番に意味があって、1と2を飛ばして3から始めると、たいてい失敗します。

5つの手順は、こうです。

  • 観測:月1回、AIの説明を記録して、ずれの型と原因の層を分類する

  • 名乗りの固定:決めた一言を、自社が載っているすべての場所で一字一句そろえる

  • 説明されるための文章:順位のための文章を、引用されるための文章に書き換える

  • 第三者の場所を増やす:自社では書けない場所に、同じ名乗りで載る

  • 測り方の変更:流入数ではなく、AI経由の問い合わせと説明の改善を見る

1と2が先なのは、記録がないと3以降の効果が分からず、名乗りが揺れたまま第三者の場所を増やすと、揺れが増幅されるからです。

ここから先は、5つの手順のそれぞれを、記入例とExcelの使い方つきで書いていきます。配るExcelは「AI説明ログ」「名乗りの点検」「発信の棚卸し」「集計」の4シート。月曜に保存した9つの回答を貼るところから始められる形です。月500円で、この続きと過去の限定記事がすべて読めます。

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