AI検索で、あなたの会社は何と説明されているか
このnoteで分かること
日本の検索は、すでに半分がAIを経由しています。その中で、あなたの会社は「あなたが書いたこと」ではなく「他人があなたについて書いたこと」で説明されている
AIの説明がずれるのは3つの型に分かれます。古い、混ざる、出てこない。型が分かると、どこを直せばいいかが分かる
生活者はAIの説明を鵜呑みにしていません。だからAIの説明は「最初の一言」であって、最後ではない。今日やることは、直すことではなく、見ることです
顧問先で、ここ1年でよく聞くようになった言葉があります。
「ChatGPTでうちの会社のことを聞いたら、違うことを言っていたんです」
中身を聞くと、だいたい3つのどれかです。何年も前にやめた事業を、今の主力のように説明している。社名の似た別の会社と混ざっている。あるいは、業種で聞いても自社の商品がまったく出てこない。
そのあとに続く言葉も、だいたい決まっています。「LLMO対策って、何をすればいいんですか」。サイトを直せばいいのか、記事を書けばいいのか、どこかの業者に頼めばいいのか。
今日は、その手前の話をします。直す前に、AIがあなたの会社を、何を読んで説明しているのか。そこが分かると、サイトをいくら直しても説明が変わらない理由と、どこを変えれば変わるのかが見えてきます。
日本の検索は、もう半分がAIを通っている
この章の要点を先に言うと、日本の生活者の半分が検索にAIを使い始めていて、検索1位の価値はこの2年で大きく変わりました。
サイバーエージェントのGEOラボが9月4日に公表した調査があります。15〜69歳の9,278人に、8月7日から10日にかけて聞いたものです。検索の手段として生成AIを使う人は52.3%。初回の2025年5月は21.3%だったので、1年3か月で2.5倍になっています。10代では80.6%、40代でも50.2%です。
使われているサービスは、ChatGPTが30.6%、GoogleのAIモードが28.4%、Geminiが23.2%。検索エンジンと生成AIの両方を使う人のうち、「検索の半分以上を生成AIに移した」と答えた人は46.6%でした。

「うちはBtoBだから関係ない」「地方の店だから関係ない」とは、言いにくくなっています。同じ調査で、比べる段階の検索で生成AIを最初に使う人の割合は、価格の比較で15.5%、旅行の宿泊先で14.8%、物件の条件で14.5%でした。日々の情報収集では22.6%、行動に移る段階では24.6%。買う前に比べる場面があるなら、業種を問わず、4〜5人に1人はAIに先に聞いています。法人の購買担当者も、生活者としては同じ人です。
Googleの側も、検索の形を変えてきました。「AIによる概要」が日本で始まったのは2024年8月。会話型の「AIモード」が日本語で使えるようになったのは2025年9月9日です。
出典:https://blog.google/intl/ja-jp/products/explore-get-answers/ai-overviews/
出典:https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/2045200.html
その影響を測った数字があります。Ahrefsが7月に公表した分析で、情報を調べる検索(情報系キーワード)で検索1位にいるページのクリック率を、AIによる概要が出る場合と出ない場合で比べたものです。日本では、AIによる概要が出る検索で、1位のクリック率が本来の見込みより62.7%低くなっていました。2025年12月時点では38%の低下だったので、半年で加速しています。
ひとつ注意があります。この「62.7%減」は、AIによる概要がなかった場合のクリック率を過去の傾向から推計し、実際の数字と比べたものです。キーワードの数も公表されていません。だから小数点まで信じる数字ではなく、「1位でもクリックが大きく減っている」という方向を読む数字です。
ここで、Google自身の立場も押さえておきます。Googleの公式ガイドには、AIによる概要やAIモードに表示されるために「追加の要件はなく、特別な最適化も必要ない」「新しい機械可読ファイルやAI用のテキストファイル、マークアップも不要」と書かれています。通常のSEOがそのまま適用される、という立場です。
Googleは同じガイドで、AIによる概要が出た検索結果からのクリックは「より質が高い」、つまりサイトでの滞在が長い傾向があるとも書いています。本数は減るが、来る人は目的がはっきりしている。これはGoogleの主張で、独立した検証はありませんが、現場の感覚とは合っています。問い合わせに来る人の話が、以前より具体的になった、という声は顧問先でも聞きます。
この2つを並べると、起きていることがはっきりします。順位は、まだある。でも順位が、流入を保証しなくなった。 検索1位を取る仕事は残っていて、取っても、以前の4割しか来ない。そして訪問者の半分は、そもそもAIに聞いている。
AIは、あなたの会社を「他人の言葉」で説明している
この章の要点を先に言うと、AIがあなたの会社を説明するとき、読んでいるのは自社サイトだけではありません。むしろ、自社サイト以外のほうが多い。
AIが会社を説明するときに使う材料は、3つの層に分けられます。

第1層は、公式情報。
自社サイト、プレスリリース、採用ページ。あなたが書いたものです。
第2層は、第三者の記述。
レビューサイト、業界メディアの記事、Q&Aサイト、SNSの投稿、取引先が「導入事例」として書いたページ。あなたについて、他人が書いたものです。
第3層は、学習時の記憶。
AIのモデルが作られた時点までにインターネットにあった情報です。検索機能を使わずに答えるとき、AIはここから答えます。何年か前の情報が、そのまま残っています。
AIがどの層をどれだけ読んでいるかを示す調査があります。米国のPR会社5Wが今年5月に公表した「State of AI Citations 2026」は、複数の調査会社のデータ(Profoundの6億8,000万件の引用分析など)を集約したものです。それによると、ChatGPTの引用元の上位10ドメインのうち47.9%をWikipediaが占め、Perplexityでは46.7%をRedditが占めていました。GoogleのAIモードでは、LinkedInが回答の約15%に現れています。
同じレポートに、気になる一文があります。B2Bソフトウェアの分野では、ベンダー自身のサイトは、AIの引用元の上位10位にほとんど入っていない。会社が自分で書いた説明より、他人が書いた説明のほうが、AIには読まれている。
これは米国のデータで、日本ではRedditやLinkedInの位置に何が入るかは変わります。レビューサイト、比較メディア、Q&Aサイト、業界団体のページ、取材記事。場所は違っても、構造は同じです。AIの説明は、あなたが書いたことの要約ではなく、他人があなたについて書いたことの要約になっている。
だから、冒頭の相談に戻ると、こうなります。自社サイトを直しても、説明が変わらない。第1層を直したのに、AIは第2層と第3層を読んでいるからです。
聞き方で、AIが読む層が変わる
もうひとつ、押さえておきたいことがあります。同じ会社について聞いても、質問の形で、AIが読みにいく層が変わります。
社名で聞くと、AIは第1層(公式サイト)と第3層(記憶)を中心に答えます。名前が分かっているので、公式の説明を取りにいける。だから社名で聞いたときの説明は、比較的まともです。古い記憶が混ざることはあっても、まったく違う会社の話にはなりにくい。
業種で聞くと、話が変わります。「△△でおすすめの会社」と聞かれたAIは、公式サイトを一社ずつ見にはいきません。第2層、つまり第三者が「この業種なら、この会社」と書いている場所を読んで、そこで繰り返し名前が挙がっている会社を並べます。レビューサイト、比較記事、Q&Aの回答、業界メディアの特集。そこに名前がない会社は、どれだけ公式サイトが立派でも、候補に入らない。
比較で聞くと、さらに第2層の比重が増えます。「○○と□□の違い」に答えるために、AIは両社を並べて書いている第三者の文章を探します。そういう文章がなければ、AIは両社の公式サイトの言葉を機械的に並べて、違いを自分で作ります。そのとき使われるのは、たいてい、公式サイトの一番上に書いてある抽象的な言葉です。
だから、社名で聞いて安心するのは早い。業種と比較で聞いて初めて、お客さまが新しくあなたを見つけるときの説明が見えます。
第三者の場所が4つ以上あると、引用が2.8倍
もうひとつ、同じレポートから。企業がWikipediaやWikidataに存在し、さらに4つ以上の権威ある第三者の場所に載っている場合、AIに引用される確率が2.8倍になるという相関が報告されています。被リンクの数よりも、ブランド名での検索量のほうが、引用のされやすさと強く関係していたとも。
これは相関で、因果ではありません。有名な会社ほど第三者に書かれやすく、引用もされやすいという、当たり前の関係も含んでいます。それでも方向としては、第三者の場所に、同じ名前で、何度も載っている会社が、AIに説明されやすいということは言えそうです。
ずれの3つの型:古い、混ざる、出てこない
この章の要点を先に言うと、AIの説明のずれは3つの型に分かれ、型ごとに原因の層が違います。
顧問先で聞いた3つの相談を、3層に当てはめると、原因が見えてきます。

型1:古い。
何年も前にやめた事業を、今の主力のように説明する。原因は第3層です。モデルが学習した時点の情報が残っている。加えて第2層にも、昔の取材記事や古い紹介ページが残っていて、AIはそれを「今の情報」として読みます。自社サイトを更新しても、外に残った古い記述は消えません。
型1には、時間の問題もついて回ります。第2層の古い記事を消したり直したりしても、第3層の記憶はすぐには変わりません。AIのモデルが作り直されるのは数か月から年に1度の単位で、その間、検索機能を使わない回答では古い説明が続きます。だから型1は、「直したのに変わらない」がいちばん起きやすい型です。直したあと、第2層に新しい記述が増えて、検索機能つきの回答から先に変わっていく。その順番を知っておくと、焦らずに済みます。
型2:混ざる。
社名の似た別の会社と混同される。原因は第2層にあります。第三者の場所で、あなたの会社の名乗りが揺れている。「株式会社○○」「○○(旧△△)」「○○ジャパン」。表記がばらばらだと、AIはそれらを一つの会社として束ねられず、別の会社の情報と混ぜます。
型3:出てこない。
業種で聞いても、自社の商品が紹介されない。原因は第2層の不在です。自社サイトには書いてある。でも、他人が書いたものがない。AIは「業種で聞かれたとき」、第三者が複数回言及している会社から並べます。第1層にしかない会社は、候補に入りません。
3つに共通しているのは、原因が自社サイトの外にあることです。
今週の水曜と金曜に、「お客さまは、あなたの会社を一言で何と呼んでいるか」という話を書きました。AIの説明は、その一言の、もうひとつの現れ方です。お客さまの口にある一言と、第三者の場所に書かれている一言と、AIが説明に使う一言。この3つが同じなら、型2も型3も起きにくい。ずれているなら、AIはずれたまま説明します。
生活者は、AIの説明を鵜呑みにしていない
この章の要点を先に言うと、AIの説明は「最初の一言」であって最後ではない。だから、ずれていても取り返せる場所があります。
ここまで読むと、「AIの説明がずれていたら、もう終わりなのか」と思えてきます。そうではないことを示す数字が、2つあります。
さきほどのGEOラボの調査では、AIに商品やサービスを薦められたあと、「さらに検索した」と答えた人が77.3%。「AIの回答に表示されたURLをよくクリックする/ときどきクリックする」は61.0%。AIの推薦をきっかけに実際に買ったり使ったりした人は58.7%でした。
米国でも同じ向きです。Product.aiが10月14日に公表した調査(米国1,493人、重み付けなし)では、AIで商品を調べた人のうち89.9%が、買う前に別の場所で確かめ直していました。そして75.1%は、「AIがブランドの宣伝文句を事実として繰り返すことがある」と知っているか、疑っていました。

つまりAIの説明は、入口の一言です。生活者はそのあと検索し、サイトに来て、確かめる。ずれた説明で入口に立った人が、サイトで正しい情報に出会えば、ずれは取り返せる。逆に、入口でそもそも名前が出てこなければ、確かめに来る人もいない。
だから、3つの型の中で、いちばん重いのは型3の「出てこない」です。古いも混ざるも、来た人に対して正せる。出てこないは、来る人がいない。
架空の例で、3つの型を見てみる
ここからは架空の会社の話です。実在の会社ではありません。構造を見るための例として置きます。
創業30年の、金属部品の加工会社があるとします。10年前までは自動車向けの量産部品が主力でした。今は、医療機器向けの精密加工に主力を移し、売上の7割がそちらです。社名は創業時のまま。10年前の取材記事と、業界名簿の古い掲載が、今もネットに残っています。
社名で聞くと、AIはこう答えます。「自動車部品の量産加工を手がける企業です」。型1、古い。第3層の記憶と、第2層に残った10年前の記事が、そう言わせています。自社サイトは3年前に医療機器向けに作り直してあるのに、です。
業種で「医療機器向けの精密加工でおすすめの会社」と聞くと、名前が出てきません。型3、出てこない。医療機器向けに主力を移してから、第三者に書かれたものがほとんどないからです。取引先は守秘の都合で事例を出せず、業界メディアの取材も受けていない。公式サイトにしか、新しい事業の話がない。
そして、県名を変えただけの同名の会社が別の地方にあって、比較で聞くと、そちらの情報が混ざって返ってきます。型2、混ざる。
この会社がやりがちなのは、公式サイトのトップに「医療機器向け精密加工のリーディングカンパニー」と大きく書き直すことです。でも、それでは3つとも直りません。第1層を直しているからです。直るのは、医療機器の業界団体の会員名簿に新しい事業内容で載り、取引先1社に匿名でも事例紹介を書いてもらい、名乗りを「○○(△△県)」で統一して第三者の場所に広げたときです。
繰り返しますが、架空の例です。ただ、顧問先で聞く3つの相談を分解すると、だいたいこの形になります。
この見方の限界
言い過ぎないように、弱いところも書いておきます。
今日使った調査は、どれも自己申告の一時点のものです。「AIで検索した」の定義も、調査ごとに違います。Ahrefsの数字は推計で、キーワード数が公表されていません。5Wのレポートは複数の調査の集約で、日本のデータではありません。
もっと大事なことがあります。AIの回答は、同じ質問でも日によって、使う人によって、変わります。1回聞いて「ずれていた」と判断するのは早い。3回聞いて3回ずれていたら、型として扱う。それくらいの慎重さが要ります。
それから、AIに正しく説明されることが、そのまま売上になるわけではありません。説明された先で、お客さまが確かめに来て、そこで何を見つけるか。そちらのほうが、依然として重い。AIの説明は、その入口の数を決めているだけです。
もうひとつ、逆の選択肢にも触れておきます。Googleのガイドには、AIによる概要に自社の内容を使わせない設定(nosnippetなど)も書かれています。使わせないことはできます。ただし、そうすると、AIの説明からあなたの会社の公式の言葉が消え、残るのは第2層と第3層、つまり他人の言葉と古い記憶だけになります。使わせないという判断は、説明を他人に全部任せるという判断でもあります。
それでも、入口の数が半分の生活者に関わるようになった以上、見ないわけにはいきません。
小さな一歩:3つの質問を、3つのAIに聞く
今日やることは、ひとつだけです。直さない。見る。

質問1:自社名で聞く。
「○○株式会社は、どんな会社ですか」。返ってきた説明を、そのまま保存します。古いか、混ざっているかが分かります。
質問2:業種で聞く。
「△△(あなたの業種)で、おすすめの会社を教えてください」。自社が出てくるか。出てこなければ、型3です。出てきたら、何と説明されているかを見ます。
質問3:比較で聞く。
「○○と□□(競合)の違いは何ですか」。AIがあなたの会社を、何との違いで説明しているか。お客さまが使っている一言と同じかどうかが、ここで分かります。
これを、ChatGPT、GoogleのAIモード、Geminiの3つに聞きます。回答は、要約せずにそのまま貼って保存してください。日付も。来月、同じ質問をもう一度するときの、比較の元になります。
保存するときに、ひとつだけ見ておいてほしいことがあります。AIの回答に、参照したリンクが表示されていたら、そのリンク先を開いてください。公式サイトなのか、レビューサイトなのか、何年も前の記事なのか。AIがあなたの会社を説明するために、どの層の、どの場所を読んだのか。それが、来週以降に直す場所の候補です。リンクが表示されない回答なら、第3層の記憶から答えている可能性が高い。それもメモしておきます。
ここで直さないでください。直したくなりますが、何を直せばいいかは、ずれの型と原因の層を見てからです。水曜に、その手順を書きます。
今日、確かめる3つのこと
1. 自社名で聞いたとき、今の事業が説明されているか
古い事業が出てきたら、外に残っている古い記述を探す必要があります。
2. 業種で聞いたとき、自社が候補に入っているか
入っていなければ、第三者の場所に、あなたの会社について書かれたものが足りません。
3. AIが使った一言は、お客さまが使っている一言と同じか
違っていたら、第三者の場所で名乗りが揺れています。
最後に、ひとつだけ。
AIに「うちの会社のことをどう説明すればいい」と教えることはできません。できるのは、AIが読んでいる場所に、正しいことが書かれている状態を作ることだけです。それは、あなたの会社について、他人が何を書くかを設計する仕事です。
今日の要点
日本の生活者の52.3%が、検索に生成AIを使っている。AIによる概要が出る検索では、1位でもクリックが6割減。順位は残るが、順位が流入を保証しなくなった
AIは、あなたが書いたことではなく、他人があなたについて書いたことで会社を説明する。だから自社サイトを直しても説明は変わらない
ずれの型は3つ。古い、混ざる、出てこない。 いちばん重いのは「出てこない」で、確かめに来る人がいなくなる
生活者の77.3%はAIの説明のあとに検索する。AIの説明は入口の一言。今日は直さず、3つの質問を3つのAIに聞いて、保存する
AIの説明を見て、「どこから直せばいいか分からない」という方は、気軽に声をかけてください。ずれの型の見立てと、第三者の場所の棚卸しを、一緒に整理します。売り込みは、しません。
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— 山口偉大 / Yamaguchi Takehiro
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