週末トレンド便|AIモードへの質問は、検索の3倍長い
今週の要点
今週のキャンペーンは、参加の単位が小さい。111円の買い物、おにぎり1個、リポスト1回。「買う」の手前に、生活者が自分の生活の大きさで参加できる入口が置かれました
検索と広告が「答えを見る場所」から「次を決める場所」へ動いています。GoogleのAIモードへの質問は従来の検索の3倍長く、広告はその答えの中に入り始めた。LINEヤフーは、LINE公式アカウントをAIの接客に変える
その同じ週に、2,726万件の顧客情報が流出した可能性が公表されました。参加の入口を増やすほど、預かる情報も増える。入口の設計と、預かり方の設計は、同じ話です
11月11日、ファミリーマートで111円以上の買い物をして、ファミペイを見せる。それだけで、ゲームの挑戦権がもらえて、当たれば買い物と同額のポイントが戻る。45周年の企画で、全国約16,500店が対象です。11月1日からは、ファミペイの画面から毎日抽選に参加できて、1名に111万円相当、1日1名に11万円相当の商品が当たる。

同じ週に、PayPayとセブン-イレブンが、11月2日から13週連続の「おにぎり祭」を発表しました。対象のおにぎりをPayPayで買うと、最大5%のポイントが付くクーポンが、買ってから約3週間後に届く。アプリを連携した人には、11月はセブンカフェが半額。2027年3月まで、毎月クーポンが届きます。

参加の単位が、小さい。111円、おにぎり1個、リポスト1回。企業が用意しているのは、「このくらいなら、やってもいい」と思える大きさの入口です。情報を届ける仕事の、一歩先にあるものです。
その入口の向こうで、もう一つ別のことが起きています。Googleは10月28日、AIモードの中の広告を10か国に広げると発表しました。AIモードへの質問は、従来の検索の3倍長い。生活者は、状況と条件を書いて聞いている。広告は、その答えの中に入ります。LINEヤフーは10月27日、LINE公式アカウントをAIが接客する「AIモード」を11月に先行で出すと発表しました。
「買う」の手前に、小さな参加と、長い質問が置かれた週。今週は、そこから読んでいきます。
今週の3本
1. ファミリーマート45周年、PayPay×セブン-イレブン、ソフトバンクのホークス日本一(10/28〜29)
3つとも、参加の単位を日常の行為の大きさに揃えています。111円の買い物でゲーム、おにぎり1個で5%、リポスト1回で抽選。ソフトバンクグループは4社で9件のキャンペーンを組み、PayPayはフォローとリポストで10人に10万円相当、LINEMOは100人に2,000円相当。大きな景品は1人に、小さな参加は全員に。入口を小さくして、繰り返させる設計です。
出典:https://www.family.co.jp/company/news_releases/2026/20261029_01.html
出典:https://about.paypay.ne.jp/pr/20261028/01/
出典:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2026/20261028_02/
2. Google「AIモードの広告を10か国へ」、LINEヤフー「Business OS」(10/27〜28)
Googleは、AIモードへの質問が従来の検索の3倍長いこと、AIモード内のスポンサー商品と自然検索の商品のクリック率がすでに同程度であること(自社データ)を示して、広告を10か国に広げました。日本は入っていません。LINEヤフーは、LINE公式アカウントをAIが接客する「AIモード」(11月先行)、広告からLINE公式アカウントへ直接つなぐ「チャット誘導広告」(12月)、企業の商品情報をAI・検索・広告に反映する「商品管理」を発表。検索と広告が、答えを見る場所から、次を決める場所に変わっています。

出典:https://blog.google/products/ads-commerce/ads-in-ai-mode-global/
出典:https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/020933/
3. 電通デジタル「購買市場OneIDマーケティング」、TVer×ドコモ×データ・ワン(10/26)
電通デジタルと電通は、Amazonの購買データと生成AIで、市場理解→仮説→実行→検証→学習を一周させるサービスを始めました。成立した仮説だけでなく、不成立の仮説も蓄積する設計です。TVerとドコモとデータ・ワンは、配信視聴データ、dポイント会員データ、小売の購買データをつないで、広告視聴から来店・購買までを追う共創に合意。利用する項目と範囲は「今後協議」。AIとデータが、施策の前後をつなぎ始めています。


3本に共通するのは、マーケティングの仕事が「見せる」から「次の行動の手前を設計する」に動いていることです。生活者の側には小さな参加の入口を、企業の側には仮説から検証までの一周を。どちらも、行動の一歩手前に置かれている。
前回の便で、広告の「次の動作」が画面の外に出た話を書きました。今週はその続きで、次の動作の「大きさ」と、次の動作が起きる「場所」が変わった週です。動作は小さく、場所はAIの答えの中へ。
今週の数字:3倍

Googleが10月28日のブログで示した数字です。AIモードへの質問は、従来の検索に比べて、平均で約3倍長い(Google AI Mode Report、米国、2026年5月)。そして、AIモードの中でスポンサー付きの商品と自然検索の商品を並べたとき、クリック率はすでに同程度だった(Google社内データ、米国、2026年8月20日〜9月3日)。どちらもGoogle自身の数字で、独立した検証はありません。それでも、方向は読めます。
3倍長い質問とは、どういうことか。「印刷 短納期」が、「来週の木曜に展示会があって、A4のチラシを1,000部、できれば前日に会場に届けてほしいんだけど、どこに頼めばいい」。状況と条件が、質問の中に入っている。答える側(AI)は、条件に合う会社を並べる。広告は、その並びの中に「スポンサー」と表示されて入る。
これは、先々週に書いた「AI検索で、あなたの会社は何と説明されているか」の続きでもあります。質問が長くなるほど、AIは条件で絞る。条件で絞られたとき、あなたの会社の情報が、条件に答えられる形で置かれているか。広告を出す前に、そこが決まります。
同じ日、Alphabetの決算では、検索の広告売上の伸びが12%と、第1四半期の19%、第2四半期の17%から鈍っていました。質問は長く、深くなっているのに、従来の検索広告の伸びは落ちている。広告をAIモードの中に入れる動きは、その裏返しです。
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